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13.ツインテールの女の子2
そろそろこいつらの会話に心の中で突っ込むのにも疲れて、相馬に少し前を歩かせると、騒がしい集団から逃れるようにわき道に逸れた。
渡り廊下を伝って、選択教科棟へ移動する。
2階へ下りて図書室へ入ると、見知った顔が受付に座っていた。
「美島」
図書委員で水泳部の美島は、中性的なキレイな顔立ちの男だ。
俺とは去年同じクラスで隣の席に座って以来の仲。
表情に乏しくて無口だけど、実は優しくて温かい。
俺にとって美島は、この体育会系の校内において、掃溜めに鶴的存在だった。
「角谷、本借りに?」
「うん。日本史のレポート用の資料探しに」
低からず、高からず、淡々と話す声が心地いい。
「日本史なら、窓側から2列目の取り揃えがいいと思う」
「ありがと。じゃあそこ、探してみるよ」
「うん。…がんばれ」
普段は無表情の美島が、ふんわり微笑 う瞬間の顔が、とても好きだ。
なんだかうれしい気持ちが溢れて、胸が温かくなった。
本を選んでいると、背後から声を掛けられた。
えぇと、……誰だ?多分知らない女子、だけど……。
「ちょっと、付き合いなさいよ」
腕を掴んで強く引かれる。
悪意、と言うか、敵意を感じる。
少なくとも、好ましい話題を振られるわけではなさそうだ。
「本、借りたいんだけど」
「そんなの後にしてよっ」
切羽詰まった様子で、更にぐい、と引っ張られた。
女子相手だし、振り払うことはできるけど……。出来れば手荒な真似はしたくないし。
仕方ない。
俺より10cmくらい背の低い茶髪のツインテールに、嫌々ながら従うことにした。
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