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14.ツインテールの女の子3
ついて行ったら女子に囲まれるパターンとか、嫌だなぁ…。
この子は160cmくらいだからまだいいけど、うちの学校運動系力入れてるから、170cmサイズの女子とかゴロゴロしてんだよなぁ。
柔道部とか空手部とかバスケ部とかに囲まれたくはないな。縦にも横にも俺よりデカいの、わんさかいるもんな。
ちょっと怖くなって身震いすると、そのタイミングで目の前の女子が足を止めた。
慌てて立ち止まると、振り返った女子に肩を押されて壁に追いやられる。
なんだなんだ、壁ドン、女子からバージョン…?
「ちょっと訊きたいんだけど」
真正面、少し下から睨みあげられる。
なんか脅されるんだろうか。それとも、カツアゲ?
俺も一応、体育会系男子なんだけど。
「なにを訊きたいの?」
普通にしてれば可愛い顔してると思うし、ふと見下ろすと巨乳だし…。
こんなことする子じゃなきゃ、男なんか選びたい放題だろうに。
やっぱギャルって怖ぇなぁ…。
「や、……一翔、のこと、なんだけど」
「かずと…?」
「相馬 一翔 !アンタよくツルんでんでしょっ!」
「あ、うん、相馬な」
相馬のこと一翔って呼ぶのなんか、家族か、……歴代彼女ぐらいじゃん。
自分から告っといて、相馬をフッた酷い女たち。
じゃあ、この子も相馬の元カノの1人なのかな?
なんかこの子、ツンデレっつーの?
「別にアンタが好きで付き合ってあげてたわけじゃないんだからね!」とか言ってフリそうなイメージだし。
「あの、……一翔の好きな人って誰?」
「えっ……」
思わずギクリと顔が強張った。
「だから、一翔の好きな人訊いてんのよ!アタシ、好きな人いるから付き合えないとかって断られたんだけど。出遅れたとかならともかく、今までそんな風に断られた子いないし。付き合っといて内緒にするとか、絶対変でしょ。誰なの!?相手!」
僅かでも、自分が原因でフラレたとは考えないタイプか。
相手が居るから断られただけで、自分が先なら勝ち取ってた筈だって。
……ううん、それどころか相手が分かれば横取りしてやろうって寸法か。
俺なんか、相馬に好かれる要素すら見出せないってのに…。
愛されるのが当たり前の人種ってのも、やっぱり存在するんだな…。
……ああ、そうか…。相馬自体がそうだった。
こんな相手にでも、無条件で好かれるのが相馬なんだった。
「ちょっと、聞いてんの!?」
余計なことを考えて答えずにいると、彼女は更にグイッと身を乗り出してくる。
冗談でも、自分ですとは言えない雰囲気だ。
「相馬からは何も聞いてないけど…」
目を合わせられなくて、廊下に目を走らせ助けを求めるけど、人影はなし。
「アンタが、一翔の一番傍にいんでしょ」
「いや、そんなこと…」
なんでそんなに必死なんだよ。
…どうせ、付き合っても3~4ヶ月後にはそっちから、別れるって言うくせに。
「さっき、ギクッてしたでしょ。なんか知ってる風だった」
何気に目敏いし。
めんどくさい……。相馬の所為で女子から絡まれる…とか…。
「…あっ、そう言えばさっき他の友達と帰ってて、そいつらにはなんか話してる感じだった」
「マジで!?」
「わかんないけど、多分」
「その人たちに訊いて分かんなかったら、またアンタ呼び出すからね」
「そう言うの、本人に訊いた方がいいんじゃねーの?」
「訊いたけど教えてくんなかったからアンタに訊いてんでしょ!」
相馬にあしらわれたことを、俺に当たられても困る…。
確かに、あいつが今どうこうしようって相手は、俺だったりするんだけど。
「やっぱりアンタ、なんか知ってんじゃないの!?」
鋭い視線が顔面に突き刺さる。
正直、知っている。
知ってはいるけど、真実を伝えようものなら、目の前の女子は益々怒り狂って手をつけられないことになりそうだし。
変な噂たてられても困るし、こんな訳わかんない奴に俺の気持ち、話すなんて有り得ないし……。
…どうしようかな。どうやって切り抜けようか。
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