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30.角谷兄弟と相馬兄弟の関係4

「フザけんなっ!ずっと…ちゃんと…」 …言ってきてるだろーが! 「俺とお前の好きは違うんだよ!俺だけが…っ、ずっと一方的に好きで…もう、……もういやだぁっ!一緒にいたいだけなのに!なんなんだよお前は!意味わかんねーんだよお前は!死ねっ!」 「えっ?なに!?死ねって…!?」 「死ね!俺もっ、一緒に死んでやるから!」 「えっ、な、なに!?ヤンデレ!?」 「変な言葉で括んじゃねえ!!」 怒鳴りつけて、勢いのまま立ち上がり、自分のベッドに飛び乗った。 「寝るっ!!」 「えっ!?寝る…って!」 頭から布団をすっぽり被って、もう何も聞こえないフリをした。 相馬が掛け布団をぽんぽん叩いて呼んでる。 「埃が立つだろーが!」 颯斗兄の拳が、頭にヒットする音。 相馬の、痛みを訴える声。 ……もう、世界のすべてに目を瞑ろう。 俺が1人で抱え込むにはこの想いは、重すぎるんだ。 自分のすすり泣きも聞こえないように、布団の中でぎゅっと瞼を閉じて、枕を抱きしめた。 もう、放っておいて。 全部捨てたら、元通りの俺になるから。 相馬のことを知らなかった、恋も知らなかった頃の俺に。 「───颯斗」 一瞬だけ、音の消えた世界に…… 壱哉さんの静かな声が響いた。 「……良く、考えたよ、俺」 それが、颯斗兄に言われたことに対する答えだと気づくのに、俺はしばらくの時間を要した。 「なら、帰れ」 「帰らないよ」 普段とは違う、落ち着いた声。 「どんなに考えても変わらない。俺は、颯斗が好きだ。颯斗じゃなきゃ、いらないんだ」 颯斗兄が、息を飲む音が聞こえた。 足の力が抜けたみたいに、床にしゃがみ込んで……。 「───勝手にしろっ」 水分交じりの声が、壱哉さんを怒鳴りつけた。 「……うん。勝手にするよ」 「っ…うわっ、お前っ、なにす…っ」 「勝手にするーっ」 パタン─── と、ドアが閉まった音がした。 それから、廊下を駆ける音。 ……待て待て、何が起こった? 俺、布団被ったまんまで…… 「角谷……?」 「っ……!!」 相馬のやつ、まだ部屋にいたのか!? この状況で二人きりにするとか、何考えてんだよ壱哉さん…!!

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