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34.最後のキス4
突然与えられた快感に、咄嗟にその胸にぎゅっと掴まる。
「ばっ…!ヘンな声っ……ばかっ…!」
「…イッちゃいそう?」
「なわけあるか!ばかっ!…やっ……動かすなっ!」
「触りたい…がまんがまん…」
「股間もがまんしろっ!」
「…角谷は辛くないの?」
……なんだよ、突然。そんな、責めるような目、して…。
「別…に……?」
「角谷さぁ、…俺でヌいたりした?」
「…っ……!?」
なに───を言って……こいつは…っ!!
「どっちで想像した?する方?される方?」
「……キス…っだけの約束だろ!終わったんなら帰れ!」
「あ、ダメ。終わんないから帰んない」
「終わんないって……」
だって、キスで全部終わらせるって…。
最後に、って………。
「……お前、騙した?」
「騙してない」
騙してない、にしては悪戯が成功した子供みたいに、にやりと口角を持ち上げて……。
「地球最期か、人生最期か、とにかく最期まで、角谷とキスしてたい。だからこれが、最後のキス」
「~~相馬ぁ、おま……んぅ…っ」
文句も言わさず唇を奪って、人の目をとろんとさせたところで、終わらないって言っただろ、と笑って見せる。
ずっと、ただの馬鹿だと思ってたのに…。
こんな…悪知恵が働く奴だったなんて……!
「好き……好き……スゲー好き」
キスの合間に何度も何度も繰り返し聞かされて、まるでサブリミナル効果みたいで……
信じちゃいそうになる。
信じて…いいのかな……?
「…そうまぁ…すき……」
「っ…うん!好き、角谷、大好き!」
そうして相馬は飽きることなく俺の唇を貪り続け、俺も飽きることなく相馬の舌と唇とを受け入れ続けた。
俺の口の中で相馬の知らないとこなんか無いってくらいに。
颯斗兄が帰ってくるまで、壱哉さんが迎えに来るまで、床に転がったまま2人、ずっと抱き合ってキスをしていた。
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