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第7話 なんか、怒ってる?

「えっ、する!! 結婚する……!」 勢いで言っちまえ! とばかりに為されたオレのプロポーズに、ラルフはいつも通りの条件反射で肯定の返事をする。コイツ、いつかオレから言われるままにバカ高い物でもうっかり買っちゃいそうで怖い。 「あ、でも、なんで急に。どうしたんだい?」 ラルフは改めて理由を聞いてきた。 「お前、『運命の番』に憧れてるじゃん」 「まぁ、憧れはあるけど」 「でもお前って仮にも伯爵家の嫡男だろ? お前がいくら『運命の番』との出会いを待ちたくても後継の問題もあるし難しいだろ。オレなら『運命の番』が見つかるまでの間の繋ぎに最適じゃねぇかと思って」 「ああ、そういう事……」 なんか半目でがっかりした顔されたっけ。 それでも結局はオレの提案を快く受け入れてくれて、オレ達はアカデミー卒業と同時に結婚したんだ。 その時にオレがラルフに約束したのはひとつだけ。 ラルフに『運命の番』が現れたら、潔く身を引くこと。 それだけだった。 「いやー、まさかこんなに早く『運命の番』が現れるなんてな」 アイツが『うんめいのつがい』って言ってた時のキラキラした瞳を思い出す。 一生見つからないって人がほとんどだっていうのに、やっぱり純粋に『運命の番』に会いたいって思ってると会えるものなんだろうか。 ラルフはきっと、やっと出逢えた『運命の番』をそれはそれは大事にするだろう。だって、親友のオレでさえ、アイツはとても大切にしてくれた。結婚してからの二年間、ずっと楽しくて幸せだった。 アイツが幸せになる分、おんなじくらいオレも幸せにならないと、アイツは納得しないだろう。 オレに何ができるのかな。 自分の首を守っているチョーカーをそっと撫でて、オレは冷めてしまったコーヒーをゆっくりと飲み干した。 *** 「どこに行っていたんだ」 邸に帰るなり、わざわざエントランスまで出迎えに来てくれたラルフがちょっと不機嫌な声を出した。 「え、魔研だよ」 国立魔術研究所、略して魔研。 「言って行ったと思うけど」 「聞いた。でも、遅すぎじゃないか? 今日は元々休みの筈だろう」 「なんか、怒ってる?」 「……怒ってはいない。でも、こんな日くらい家で待ってくれてるだろうと思ったから……」 悲しい、と本当に悲しそうに言われて申し訳なくなった。 ラルフはオレが休みの日に魔研に行くのをあまり好まない。働き過ぎだってよく叱られるけど、魔法は趣味みたいなもんだから、別に無理してるワケじゃ無いんだけどな。 「ごめんね。オレも話し合わなきゃな、って思ったんだけど、なんか落ち着かなくて」

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