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第14話 【ラルフ視点】生涯を共にしたいのはビスチェだ
「……それ、少しだけ、分かるかも」
恥ずかしそうに、ビスチェが呟く。やっと共感の方向性で返事が返ってきた事に、僕は少しだけ安堵した。
「ラルフの『運命の番』が現れて……これでラルフは誰よりも幸せになれるって思うと嬉しいのに。なのに……」
くすん、と小さく鼻が鳴る音が聞こえて心臓が締め付けられるほど愛しくなる。
「なのに……?」
「オレ……」
言い淀むビスチェから、ぐすっ、ぐすっととさらに悲しい音が聞こえてくる。慰めるように優しく髪を撫でたら、ビスチェは僕の背におずおずと手を回して、シャツをキュっと掴んできた。
「ごめん、ラルフ。オレ……」
俺を見上げた目には既に限界まで涙が湛えられていて、見る間にボロボロと大粒の涙が零れ落ちる。
「オレ、もうラルフとお別れなんだと思うと、悲しくて……っ」
「ビスチェ……!!!」
けなげすぎて、もう我慢できなかった。
「お別れなわけないだろう……!」
強引に強く口づける。
「ふっ……あ、んぅ……」
甘い口内を味わおうとして、ビスチェが泣いている事を思い出して唇を開放した。
代わりにまだ涙が次々に伝っていく目尻に、頬に、何度も何度も口づける。
「僕がビスチェを手放すだなんて、できるわけがない。こんなに愛しているのに、まだ分からないの?」
「だって」
「だって……? いいよ、分からせてあげる」
「あっ」
後ろの孔にそっと触れるだけで、僕を受け入れようと指先を食んでくるのに。
「待って、待ってラルフ」
僕と離れたくない、と正直に訴えてくる体とはうらはらに、まだ頭のどこかで僕が『運命の番』と番う方が幸せなんじゃないかと疑っている様子なのが憎らしい。
「僕はね、ビスチェ。逆に今日の事ではっきりと分かったんだ。『運命の番』程度じゃ、僕のビスチェへの愛を超える事は出来ないんだって」
「ラルフ……!」
「僕が生涯を共にしたいのはビスチェだ」
こんなにも愛しくて、僕の感情を揺さぶる人は他にいない。
「今日はたっぷりと時間をかけて愛し合おうね。僕がどれだけビスチェの事を愛しているか、ビスチェが心から実感できるくらいに」
にっこりと笑って、ビスチェの後孔をくちくちと指の腹だけで嬲る。早く中に入りたい気持ちはあるけれど、今日は体中を丹念に愛でる方が先だ。
また後でたっぷり可愛がろう、とあいさつ代わりにほんの指先だけ慎ましい蕾に差し入れたら、きゅうっと指先が抱きしめられて、ビスチェの体は心地よさそうに戦慄いた。
「ラ、ラルフ待って、オレ、ラルフに抱かれたら何も考えられなくなっちゃう……!」
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