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第24話 責任をとって貰わないとね

一生懸命にラルフを説得していたつもりなのに、結局はこんなに感じてしまうなんて。 「もう……!」 恥ずかしくて悔しくてラルフを睨んだのに、ラルフは涼しい顔だ。 「昂った体で応対したらヤツらの思うツボだからね。これは必要な事だよ」 それは、そうかも知れないけど……! 「さあ着替えて。あの女を助けたいんだろう? それに、ミクス男爵には散々僕達の邪魔をした責任をとって貰わないとね」 ラルフの笑顔が、過去イチで怖かった。 *** 「きっと招き入れてくださると信じておりましたぞ……!」 邸から追い出されても、ラルフから退去するよう言伝を預かっていると伝えても、頑なに邸の前から動かなかったらしい。ヒートのまま付き合わされている娘さんが本当に可哀想だ。 こんな親、地獄に堕ちればいいのに。 「このようなご縁ができるとは恐悦至極……」 ミクス男爵が満面の笑顔でにじり寄ろうとするのを、ラルフの護衛であるヒロがしっかりと押し留める。 「無礼な!」 「無礼なのは貴方だ」 いきりたつミクス男爵に、ラルフは冷たく言い放った。 「ミクス男爵、かような夜中にこちらの了承も得ずに押しかけるとはどういう了見だ」 「分かっておいででしょう! 貴方の『運命の番』をお連れしたのですよ」 「運命の番などではない」 「ご冗談を。娘につけていた護衛から報告は受けております。いやぁ、将来は最年少での宰相も狙えるのではと呼び声高いラルフ様の『運命の番』だったとは僥倖でした。我が娘アリアナも喜んでおります」 「どうだか。貴殿が娘に薬をもってヒートを誘発させたと聞いたが?」 「使用人如きが主人の『運命の番』を信じず、追い返そうと浅はかで不敬な真似をするもので、ラルフ様に直接訪いを知らしめた方が良いと判断したまでです」 「つまり娘を発情させて、匂いで僕を前後不覚にさせようと企んだ訳だな?」 「企んだとは人聞きの悪い」 「だが、意図を持って娘のヒートを誘発したのであろう」 「それはまぁ、そうですが……ですが、それもこれも、ラルフ様と『運命の番』である我が娘アリアナを対面させてあげたいと」 「言質は取れた。捕縛しろ」 「ハッ」 「な、何を!!!?」 「私が少しでも乱れているか? 貴殿の娘に誘惑されているとでも?」 ハッとしたように、ミクス男爵がラルフとアリアナ嬢を見比べる。ヒートでグズグズに蕩けた顔でラルフを見ているアリアナ嬢とは比較にならないほど、ラルフの佇まいは落ち着き払っていた。 当たり前だ。 結界と浄化で守られてる上に、一発抜いてスッキリしたとこなんだから。

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