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阻まれた関係05
「そうだね」
言葉が続かない。
「それがどうかした?」
白衣が揺れる。
カーテンと混ざる。
この男は……。
俺は脱力して頭を抱える。
「……てことは、あなたは俺を犯したこともベラベラ喋ったってことですね」
「それは違う」
あくまで落ち着いている類沢に怒鳴りつける。
「何が違うんだよっ! どうせ有紗に身を引かせるために全部話したんだろうが! どうせそんな噂が立とうが俺がどうなろうが関係ないもんなっ。一瞬でも優しいと思った俺が馬鹿だったよ、この最低野郎!」
叫び終わると同時に駆け出した。
また捕まえられるのが怖かったってのもある。
ただ、一番は類沢の顔を見ていられなかったからだ。
叫んでいる間に、みるみる無表情に固まっていくあの顔を。
それが何より怖かった。
頭が痛い。
本当に痛い。
次の時間なんだっけ。
どうでもいいけど。
知らぬ間に屋上にいた。
寒い。
フェンスにもたれて校庭を眺める。
マラソンに励む下級生がいる。
体育教師が掛け声をかける。
それを聞いているうちに頭が冷えてきた。
なんでここに来たんだろう。
なんで、あんなに怒ったんだろう。
有紗に話されたから。
知られたくないことがバレるのが怖かったから。
しっくりこない。
なんでだ。
絶対自分の口から有紗にアドレスも家も教えたくない。
まあ家は知らないんだけど。
そういえば、なんで類沢は俺の家を知っていたんだろうか。
学校の資料の住所から?
それとも篠田が?
類沢は知っているのに、俺は家を知らない。
それもなんだか腹立たしい。
いや、違う。
こんなの腹立たしくなんかない。
ああ、変だ俺。
なんか変だ。
鳥肌が立ち、寒気がする。
そろそろ戻ろうか。
振り返った時だった。
「ここにいたんだぁ」
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