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認めたくないこと13
コンビニから出て携帯をチェックする。
忍からメールが一件。
そういえば病院に行くこと結城に言伝頼んだだけだった。
「怒ってっかな……」
不機嫌な忍を想像しただけで頬が緩む。
母親の体調も落ち着いたし、今夜はメロンパンでも買って届けに行こうかと買い物をしたところだった。
メールに本文はなかった。
添付ファイルが付いている。
写真が三枚。
データ大きくて、通信しないと見れない。
なんだ。
珍しい。
写真なんて。
時計を確認する。
五分前だ。
送られてきたのは。
忍のアパートの方向に歩きながらボタンを押す。
ロードが数秒続いたあとに表示された画像に足が止まった。
瞬きも忘れて。
「忍……?」
そんなわけがない。
そう否定する脳。
男のモノを咥えさせられて四つん這いになっているのが、忍なわけがない。
二枚目はもっと悲惨だった。
男と繋がっている場所を見せつけるように足を持ち上げられた写真。
オレは無意識に向かう方向を変えた。
早歩きになる。
三枚目。
暗くなった部屋の隅で倒れている少年。
顔は写ってないが、一枚目二枚目と同じ。
長い黒髪。
細い肩。
白い背中。
傍らに転がっているのは、忍の鞄。
オレを殴ったあの鞄。
時計を確認する。
八時二十分。
学校が見えてきた。
オレは携帯をポケットに突っ込んで走り出した。
体育の時よりも速く。
速く。
一刻も早く真実を知るため。
頭が痛む。
首が引きつっている。
ふと触れた顳顬に血管が浮き上がっていた。
地面を蹴る。
閉まっている鉄門の縁に手を掛け飛び越えると、迷うことなく西棟に走った。
グラウンドの明かりだけが真っ暗な校舎を照らしている。
もう、誰もいないんだろう。
職員室すら闇に沈んでいた。
あのメールの送り主達は。
どこだ。
いつも鍵が壊れて空いている窓から中に入り、見覚えのあるあの画像の教室に走った。
第二会議室。
美化委員の会議で使ったことがある。
だが、記憶の中のあの空間とメールの画像が結びつかない。
たどり着いた教室の扉を勢いよく開けた。
何も見えない。
暗すぎて。
携帯のカメラのライトを点ける。
それに照らされた床に人が倒れていた。
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