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どんな手でも使いますよ15
綻んだ表情をすぐに引き締めた戒が尋問するような口調で問う。
「鵜亥の拠点などフィクサーでもついていればすぐにわかるだろう?」
「はっ。新宿は誰の管轄かも知ってて言ってんのか」
「通り名はケイ。アルファベットのKから由来する、金……」
「やめとけ。お前はともかく隣の奴は知ってもいいことない」
そこで戒が不安そうな巧を抱き寄せる。
「スフィンクスでもそういう話が出るのか」
「まさか。あそこは松園親子以外そういう中枢の話は出ない」
「運び屋の名残か」
「……そう何度も言うな。今はただのホストだ」
「大事な恋人を養う旦那ね」
「事故でこの高そうな車、廃車にしたくはないよな」
「ああ……それは困る」
一歩も引かない似た二人を見比べながら巧はおどおどと次の言葉を探す。
だが、それを見つける前に車は目的地に着いてしまった。
すぐに運転席から降りた篠田に、急いで二人も続く。
さて。
人を惹きつけてやまない困った青年の救出作戦といくか。
「入るぞ」
「ちょっと待て。鵜亥は簡単に面会をする奴じゃないぞ」
肩を掴んで引き留めた戒を振り返る。
そしてその手を上から掴んだ。
びくりと手を退けようとしたが、力を込める。
「簡単に事が進むなら、お前ら呼びに他店に頭下げに行ったりしない」
ギチ、と痛いほど手を握られた戒が顔を歪めた瞬間に、巧が二人の間に割って入った。
篠田と戒の肩を押して引き離させる。
「あぁああああ、ごめんなさいっ!」
すぐに怯える巧に、大人のはずの二人がお互いばつの悪い表情を浮かべる。
ぽんと巧の頭を大きな手が撫でた。
「……謝んなや」
「オレらしない?」
「ああ」
見せつけるねえ……
つい癖で観察したくなるのを押さえ、ビルの方に歩き出す。
雅と瑞希を見ているようだ。
いや、違うか。
戒は雅にはあまりに似ていない。
だが俺と瑞希とは考えたくはない。
くだらない考え事はここまでだ。
時間も無い。
自動ドアを抜け、エレベーターに向かう。
上階へのボタンを押したとき、背後から笑い声がした。
「あっははははは! これはこれは超絶VIPのおでましやんなあ!?」
手を叩いて笑う男に戒が拳を握る。
「何年振りや? 大きくなったやん、ガキも」
ああ、こいつが汐野か。
関西弁で失礼な変態野郎。
戒の家で聞いた特徴にぴたりと当てはまる。
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