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第12話 風呂上がりはイケメン度も爆上がり
代わりばんこにお風呂に入ろって事になったけど、佐々木ん家は風呂までオシャレで、高級感ある茶系の壁、黒の浴槽、シャンプーとかもホテルみたいに揃いの容器に入れられてて、オレはいちいち驚いた。入浴剤の代わりに香水の瓶みたいなのに入ったバスオイルっていうのが置かれてるのも佐々木ん家って感じだ。
イケメンはこのオシャレな生活で育まれているのかも知れない。
佐々木とおんなじ香りのシャンプーを使ってると、オレもちょっとだけいい男になった気がして嬉しい。風呂から出るとフッカフカのタオルが置いてあって、ボディミルクなんて小洒落たモンまで渡される。
これまで結構佐々木ん家に入り浸っててこの空間にも慣れたと思ってたけど、こうして泊まって生活を一緒にしてみるとカルチャーショックの連続だった。
オレが風呂から上がったら今度は佐々木が風呂に入る。
「お風呂上がりは水分取った方がいいよ」
なんつって渡されたミネラルウォーター片手にキッチンに行ってみたら、既に夕食の茶碗も洗われ拭かれ収納までされていて、オレは佐々木の有能さを知った。
アイツ、完璧だなぁ。
やる事もないから髪の毛をタオルでガシガシ拭きながら佐々木の部屋に行き、もはやオレの定位置になったテレビがよく見えるどデカいクッションに体をぽすんとはめる。人をダメにするクッション、マジでダメになるよなぁ。すっぽりハマるともう起き上がれない。
背中をベッドにもたれさせ、ちっちゃいクッションを抱っこしてローテーブルに置かれてるマンガを手に取った。食後のダラダラ最高。
家でも同じくダラダラしてるはずなのになんかグレードが高く感じるのは、ホテルかってくらい整ってて清潔な佐々木の部屋にいるからなんだろうけど。
そんなトコで今から、ワクワクドキドキAV鑑賞会なワケね。
期待しかない。
あのお硬い佐々木はどんなAVを選んだのかなーなんてあれこれ妄想してたら、手に持ってるマンガの内容なんて一切頭に入ってこなかった。楽しみすぎるだろぉ、もうっ!
「お待たせ」
「おっ! 来た!」
うわー……。
心の中で、思わず感嘆の声をあげる。
部屋に入ってきた佐々木は、案の定イケメン度がさらに上がっていた。
黒のタイトな部屋着は体のラインが際立って見えるし、風呂上がりで濡れた髪も上気した頬もイケメン度の爆上がりに貢献してる気がする。
佐々木はベッドに座るとカッコいいドライヤーを取り出してそのまま髪を乾かし始めた。マイドライヤーかよ、金持ちめ。
位置的に俺の左斜め後ろに座った佐々木を振り返って仰ぎ見たら、なぜか微笑まれた。
ちくしょう、イケメン過ぎるだろー!!!!
「佐々木って結構タイトなの着てるなぁ。めっちゃ似合ってるけど、寝る時それって苦しくないの?」
「ああ、これ伸縮性すごいから全然大丈夫。柔らかくって肌触りもすごくいいんだ。触ってみる?」
「ふぅん」
めっちゃカッコイイ! って思ってるのを悟られたくなくて適当な事を言ったら、触ってみる? とか言われた。断るのも感じ悪いし、ちょっと触ってみたら本当に手触りがスゴイ。
ええーこんな感触初めて。めっちゃ気持ちいいけど言葉にできない。
なめらかだけどすべすべしてる気もする。柔らかくってそんなに厚い布じゃないのになんかモチっとしてる。なんという魅惑の手触り。
「ははは、くすぐったいよ」
ハッ! ついオレの顔の横あたりにある佐々木の太ももを撫で回していた。
「ちょっと引っ張ってみて」
「うおっ! うそ!?」
めっちゃ伸びる!
「ね、全然苦しくないんだ。ていうか宮下、髪濡れたままだね」
「うわっ」
温風が後頭部にかかると同時にベッドの上から手が伸びてきて、オレの頭をわしゃわしゃとかき混ぜる。佐々木が後ろからドライヤーで乾かしてくれてるみたいなんだけど、時々その手が耳やうなじを掠めてゾワっとした。
「下にもドライヤーあったでしょ。宮下って乾かさない派?」
「AV見てたらそのうち乾くっしょ」
「どんだけAV見たいんだよ」
佐々木は笑ってたけど、オレの気持ちを察してくれたのか水分をそこそこ飛ばしたくらいでドライヤーをあてるのを切り上げて、AVをセットしてくれた。リモコン片手に佐々木がオレの横に腰を下ろすと、クッションがへこんで佐々木と腕が触れ合うくらい近づいた。
佐々木の部屋の人をダメにするクッションは、二人も座れるビッグサイズなのだ。さすが金持ち。
「めっちゃ楽しみ! 佐々木チョイスAV!」
オレはもう興奮を隠せない。なんせAVは選んだヤツの性癖が如実にでるからな。いったいどんなAVを見る事ができるのか……!
「そういう風に言われると一緒に見るの恥ずかしいんだけど」
「ごめんって。早く! 早く見ようぜー!」
我慢できなくて足をジタバタさせつつ上映をせがむ。佐々木が苦笑しながらもスタートボタンを押して、いよいよテレビに映像が映し出された。
画面に映し出された内容が意外過ぎて、オレは思わず画面をガン見する。
ええ、意外……!
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