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03 紳士科へようこそ
市長指示事項:
・我が市では、下記の通り医療体制を強化する。
1)男性特有の病気を診る『紳士科』を設立する。
2)市内の男性は、紳士科への定期検診を推奨する。
以上。
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紳士科。
それは、いわゆる、婦人科に対しての男性向け、という位置づけではある。
しかし、病気の治療だけでなく、男ならではメンタルケアにも対応できる医科でもあった……。
市内のとある紳士科医院の前。
柄の悪そうな二人の男がそこにいた。
「ここで最後っす、兄貴!」
チンピラ風な男の方が言った。
兄貴と言われた男は、サングラスをずらし、その建物の看板を見つめた。
「……メンズクリニック? ああ、最近出来た紳士科って奴か」
患者とおぼしき人達がひっきりなしに入り口から出入りしている。
「随分と人気のようですね……」
「フン、すぐに立ち退かせてやるさ」
兄貴と言われた男、望月 将人 は、にやりと口元を緩めた。
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将人は、診察室に入り、クリニックの開業医である、藤木 寛明 と対面した。
寛明は、見た目は、弱々しく細身。そして、ずり落ちそうなメガネが特徴で、なんとも頼りなさそうな風貌である。
(これは、ちょろそうだな……ふふふ)
将人は、サングラスを外し、細く鋭い目で寛明を睨みつけた。
「なぁ、先生。このクリニック以外は、この辺り全て立ち退きが終わってるんですよ」
「そ、そうですか……」
寛明は、将人の低い声にたじろぎながら答えた。
将人は声のトーンを上げていく。
「そうですかって……言っている意味、分かりませんかね? ここが邪魔なんすよ! 別にタダでなんて言ってません。相場の倍。それで手を打って下さいって話です、先生!」
「い、嫌です! 倍だろうが3倍だろうが、お、お断りします!」
寛明も必死である。
メガネをクイっと上げて、精いっぱい声を張り上げる。
「へぇ、でもこの辺って治安が悪いって話聞くな。先生の身にも何か起こらないといいですけど……」
「わ、私は、そんな脅しには負けません! か、帰って貰えませんか……診察の邪魔です……から……」
「ほう、意外と度胸が据わってるな、あんた」
「……こ、これ以上いると、け、警察を呼びますよ!」
「ははは、先生。やめて下さいよ。ちょっとした世間話じゃないですか。ほら、私は患者ですよ」
「……患者? そ、それでは、診察を始めましょう」
(今日の所はこの辺でいいだろう……まぁ、この調子なら時間はかからねぇな)
将人は、安堵の表情を浮かべる寛明の様子を、狩りの獲物を見るように観察していた。
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内診台に上がった将人は、大股開きで、ぷらぷらと股間に垂れ下がったイチモツを、ことも無げに見せつける。
「さぁ、先生よぉ。ちゃんと診てくれよ。こいつは自慢のイチモツでな。100人からの女を抱いてる代物だぜ」
「で、では……失礼します」
寛明は、キュッキュとゴム手袋を装着すると、なれた手つきで、男のモノを調べはじめた。
竿だの玉袋なの、伸ばしたり縮めたり、こねくり回す。
(ふっ、俺を勃起させようって魂胆か? 万に一つも男に勃起させられる何て屈辱は俺にはない)
「……お尻の方も触診します。よろしいですか?」
「あん? ケツの穴だと……いいぜ、しっかりな」
(今度は、アナルか。まぁ、俺は、プロの性感マッサージでも反応しなかった男だ。好きにすればいいさ)
寛明の手は、ペニスからアナルへ。
何の前触れもなく、指が入っていく。
そして、思った通り、無感覚のまま触診は終った。
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クリニックの外に出た将人は、呆気なく終った診察に何か物足りなさを感じていた。
(俺は何か期待していたのか? 何か特別な、なにかを?)
「兄貴、どうかしましたか?」
「ん? ああ、なんでもねぇ。今日のところは引くぞ。ああ、そうだ。このクリニックはすぐに落とせそうだ」
「さすが、兄貴!」
おかしな事が起きたのこの後の事だった。
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将人は、クリニックからの足で、行きつけの風俗店へと向かった。
お気に入りの娘を指名し、さぁ、一発抜いてもらおうか、となったところで、全く勃起しない事に気が付いたのだ。
風俗嬢は、驚きの声を上げた。
「どうしたの、お客さん。こんなにおしゃぶりしているのに、ふにゃふにゃ。くすくす、こんな事って初めてよね?」
「う、うるせぇ!」
あまりにも、面白がっていじくり回すので、将人は腹をたてて店を飛び出した。
(おかしい……何で、まったく興奮しねぇんだ?……きっと、あのメガネのせいだ!)
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愛車の運転席に乗り込み、ハンドルをバンと叩いた。
「くそ、あのメガネ! いまいましい!」
確証はない。
しかし、診察の時に何か細工をされた。それ以外考えられないのだ。
「……確か、こんな風に触ってたよな……」
将人は、試しに、診察の時を思い出しながら、寛明にされたように指をアナルに入れてみた。
するとどうだろか。隆々と勃起するではないか。
「なんだよ! 勃起するじゃねぇか! ……し、しかし、ケツ穴をいじるだけで、なんでこんなに気持ちいいんだ?」
アナルに指を入れてそれを出す。
ただ、それを繰り返すだけなのだが、今まで味わった事のない快感が体中を掛け巡り、とうとう病みつき状態に陥った。
「や、やべぇ、いっちまう……いくっ……いくっ、やべぇ! でも、ここで出したら、車汚しちまうじゃねぇか! でも止まんねぇよ……あっ」
ドピュ、プシューッ……。
溜まっていた男のミルクが、見事にフロントガラスに飛び散った。
将人は、いきの余韻に浸る間もなく、再びハンドルを叩いた。
「く、くそっ!」
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診療時間が終わる頃。
将人は、クリニックから出てくる寛明を待ち構え、車に押し込んだ。
そして、事務所へと連れ去る。
ガムテープで手枷をさせられた寛明は、最初こそ抵抗をしたが、椅子に座らされ大人しくなった。
項垂れたまま、足元をじっと見つめている。
将人は、裸になり、萎えたままのペニスを突きだした。
「女の裸を見ても、フェラされても、まったく興奮しねぇ。お前、俺の体に何かしただろ? 今すぐ、元に戻せよ!」
しばしの静けさ。
寛明は、くすくす、と肩で笑い始め、次第に大きくなり、最後には、声を上げて大笑いをした。
「私は何もしてない。それがお前の真の姿って事だ」
「何もしてないだと? 笑わせるなよ、俺は100人斬りの男だぞ!」
「くくく……笑えるな。気が付いてねぇのかよ」
顔を上げた寛明の顔は、別人のよう。
(な!? お前、本当にあの気弱そうなメガネか!?)
頼りなさは影を潜め、ギラギラと光る目と大きな口が魔王如く将人の目に映った。
寛明は続ける。
「……つまり100人の女とやってもまだ満足出来ねぇって事だろ。だったら、お前の体は本当は女なんじゃないのか?」
「何だと 貴様!! 俺を愚弄する気か!? 殺すぞ!」
「……ったく、頭の弱いやつだな。なら、分からせてやるよ」
寛明は、すくっと椅子から立ち上がり、手枷を手品の如く取り払って見せた。
そして、服を脱ぎだす。
「心配するな、俺が満足させてやる……100人の女では味わえなかった快感をよ!」
メガネを外したその不敵な笑みの顔は、圧倒的な美青年の顔。
そして、細身と思ったその体は、着やせするだけの完璧な肉体美であった。
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逆に手枷をされた将人は、首輪を付けさせられ、椅子に固定された。
なぜか、寛明の指示に抗う事が出来なかった。
何かを期待している自分がいる。そう感じた。
床に正座させられ、寛明に見下ろされる。
顎を強引に持ち上げられ、頬をペロリと舐められた。
将人は、背筋の辺りがゾッとした。
「さぁ、調教を初めようか」
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将人の乳首は、新たな性感帯として開発された。
先端を甘噛みされ、吸い付き、引っ張りが繰り返される。
完成したそのエロく突起した部位は、テストを兼ねて思いっきりムギュっとつねられた。
「あ、あぐっ……」
猛烈な痛み。しかし、同時にえも言えぬ快感。
「いい乳首じゃないか? くくく、すっかり、メスの体になったな……感度良好だ。で、こっちはどうだ?」
視線の先には、ガチガチに勃起した将人のペニスがあった。
自慢のペニス。
寛明は、それを害虫をすり潰すようにゴリゴリと踏みつけた。
「うぐ……や、やめろ……潰れちまう」
「良いんだよ。お前はメスなんだから、こいつはもう用済みだろ?」
容赦なく潰しにかかる。
「あぐ……痛い……やめてくれ……うぐ……」
痛さのあまりヨダレがだらだらと垂れた。
ペニスは、真っ赤に腫れ上がり、先端から透明な汁が漏れ出ていた。
「くくく……痛い痛いといっても、気持ちいいんじゃないか? まぁ、ペニクリも敏感なほうがいい……上々だ」
「かはっ……」
将人は、ふらふらと意識が遠のき始め、焦点が定まらなくなっていた。
その将人の両頬に、パチンパチンと平手が飛ぶ。
「白目を向くのはまだ早い。ほら、お前が一番欲しいものをくれてやる」
将人の口に、太い何かが入った。
それは、寛明の男根だった。
ぶっとくて、たくましく脈を打っている。
「ちゃんとしゃぶれよ! こいつが欲しかったんだろ?」
頭を抑えられ、それは喉の奥まで達した。
将人は、苦しくて息が出来ずに咳き込んだ。
「ごほっ、ごほっ……」
「フェラはもっと練習がいるな。調教のし甲斐がある。ふふふ」
寛明は、首輪のロープを引っ張り、将人をうつ伏せにさせた。
そして、極太の男根を、尻の割れ目にあてがった。
「さて、ご褒美の時間だ。挿れてやるよ。せっかく、お前が大きくしてくれたんだからよ!」
「や、やめろ……」
「あん? 聞こえねぇな!」
将人の精いっぱいの声は届かずに、それは体の中に埋っていく。
ブス……ずぼぼぼぼっ。
「うぐーっ、うっ、ううう」
激しい痛みと圧迫感。
ぶっとい異物が体内に侵入する。
拒否反応で、体は弓のようにしなり、小刻みに痙攣した。
「くくく、いきなりこいつを挿れるのは、さすがに刺激的だったか? しかし直ぐに馴染むのがメスの体のいいところだ。いくぜ!」
容赦ない高速ピストン。
「おらおら! どうだ、気持ちいいか?」
「うぐ ううっ……」
肉壁は、擦れに擦れ、すでに麻痺して感覚がない。
しかし、どうだろう。
ピストンの度に体中に心地よい電気が走るのだ。
今までにない夢心地の快感。
男に犯される事でしか得られない、メスだけの特権。
(ちくしょう……こんなに気持ちよくなってちまって、俺の体はどうなっちまったんだ……)
将人の目には口惜し涙が滲み出ていた。
「くくく、泣くほど嬉しいか? お前、なかなかいい雄膣を持っているじゃないか? 締まり具合もぬめり具合もいい。これなら、どこに嫁に出しても恥ずかしくないってな」
更に激しさを増す突き上げ。
将人の体は、小さな後ろイキを繰り返し、もはや自分の意志では制御できない。
体が勝手に、ピストンに合わせて腰を振り、さらなる快感を得ようとしているのだ。
(や、やばい……このままでは本当にメスになっちまう……メスにさせられちまう)
将人は我慢できずに根を上げた。
「う、うっ……だ、ダメだ……これ以上は……頼む……あ、ああーっ!」
「可愛い喘ぎ声出しやがって、俺を誘っているのか? どうしょうもない淫乱だな!」
パチン!
「あううっ、かはっ……」
尻が思いっきり叩かれる。
すでに体中が敏感な性感帯と化している将人は、それだけで快感の域に達する。
寛明は、将人の尻を鷲掴みにした。
「仕方ない……そんなにイキたいのなら、奥までねじ込んでやる!!」
そう言うと、腰をがっちり掴み、極太の肉棒を力の限り押し込んだ。
破裂寸前の下腹部。
「うぐっ…………」
目の前の景色が真っ白になった。
(ダメだ、もう抗う事などできやしない……受け入れるしかない……メスになることを)
「声が出せないほど最高か? くくく、奥の奥で中出しして孕ませてやる! しっかり妄想妊娠しろよ? 俺とお前の子だからな! オラ!」
渾身の突き上げ。
そして、それは雄膣の最奥の性感帯を直撃した。
熱いモノが溢れ、体に沁み込む感じ。
(こんな気持ちいいのを味わってしまったら、もう戻れない……。男を受け入れるってのは……こんなに気持ちいいのかよ……ちくしょう)
将人は、自分の絶頂の断末魔を、薄れゆく意識の中で他人事のように聞いていた。
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寛明は、シャツの袖に腕を通していた。
将人は、ぐったりしていた体を起こし手を伸ばす。
「ま、待ってくれ!!」
涙が頬を伝わりポタリと落ちた。
(俺、泣いているのか? そっか、泣いていたのか……)
「……ちゃんとメスの体になれたか?」
寛明は、優しく尋ねた。
将人に、素直に、コクリと頷いた。
「それはよかったな……」
寛明は、将人の頭をポンポンと撫で、そして体を抱き寄せて自分の胸に押しあてた。
体全体をやさしく包み込む。
将人は、嗚咽が止まらない。
「俺は、うっ、うううっ……」
「ふっ、戸惑う事はない。それがお前の真の姿だ。受け入れろ。これからは、無理に自分を作る事なんてしないでいい。正直に生きろ」
寛明は、そう言うと、将人の額に優しくキスをした。
「……俺に抱かれたかったらいつで来い。じゃあな」
寛明は、去っていく。
将人は、その背中を見つめながら、胸の中に芽生えた新たな感情に胸を熱くしていた。
(……俺、先生に恋しちゃったかも……先生、愛しています……)
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将人の変わり様に、弟分は困惑した。
「兄貴、いったい、どうしちまったんすか!」
「俺は、この稼業から足を洗ったんだ。後は、お前は好きにしな。ただ、あのクリニックに手を出すような事があったら、誰だろうと殺す。いいな?」
「ちょ、ちょっと! 兄貴!」
将人は一度も振り返らずに去って行った。
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メンズクリニックの待合室。
今日は、メスに目覚めた男達のメンタルケアが行われる日、なのだが大いに賑わいを見せている。
患者全員が寛明の手によってメス化した訳ではないにしろ、一度、寛明のケアを受けたら最後、他へはいけない体となってしまう。
それほどまでに、寛明のテクニックは甘美、いや優秀なのだ。
そんな、もんもんとする男達のメスフェロモンが充満する中に、将人の姿はあった。
(先生! 俺、また先生と子作りしたいです! たくさん俺のお腹に子種を下さい!)
キラキラした目で、今か今かと順番を待っているその姿は、まるで旦那の帰りを待つ新婚妻のように見えた。
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