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03 紳士科へようこそ

市長指示事項: ・我が市では、下記の通り医療体制を強化する。 1)男性特有の病気を診る『紳士科』を設立する。 2)市内の男性は、紳士科への定期検診を推奨する。 以上。 **** 紳士科。 それは、いわゆる、婦人科に対しての男性向け、という位置づけではある。 しかし、病気の治療だけでなく、男ならではメンタルケアにも対応できる医科でもあった……。 市内のとある紳士科医院の前。 柄の悪そうな二人の男がそこにいた。 「ここで最後っす、兄貴!」 チンピラ風な男の方が言った。 兄貴と言われた男は、サングラスをずらし、その建物の看板を見つめた。 「……メンズクリニック? ああ、最近出来た紳士科って奴か」 患者とおぼしき人達がひっきりなしに入り口から出入りしている。 「随分と人気のようですね……」 「フン、すぐに立ち退かせてやるさ」 兄貴と言われた男、望月 将人(もちづき まさと)は、にやりと口元を緩めた。 **** 将人は、診察室に入り、クリニックの開業医である、藤木 寛明(ふじき ひろあき)と対面した。 寛明は、見た目は、弱々しく細身。そして、ずり落ちそうなメガネが特徴で、なんとも頼りなさそうな風貌である。 (これは、ちょろそうだな……ふふふ) 将人は、サングラスを外し、細く鋭い目で寛明を睨みつけた。 「なぁ、先生。このクリニック以外は、この辺り全て立ち退きが終わってるんですよ」 「そ、そうですか……」 寛明は、将人の低い声にたじろぎながら答えた。 将人は声のトーンを上げていく。 「そうですかって……言っている意味、分かりませんかね? ここが邪魔なんすよ! 別にタダでなんて言ってません。相場の倍。それで手を打って下さいって話です、先生!」 「い、嫌です! 倍だろうが3倍だろうが、お、お断りします!」 寛明も必死である。 メガネをクイっと上げて、精いっぱい声を張り上げる。 「へぇ、でもこの辺って治安が悪いって話聞くな。先生の身にも何か起こらないといいですけど……」 「わ、私は、そんな脅しには負けません! か、帰って貰えませんか……診察の邪魔です……から……」 「ほう、意外と度胸が据わってるな、あんた」 「……こ、これ以上いると、け、警察を呼びますよ!」 「ははは、先生。やめて下さいよ。ちょっとした世間話じゃないですか。ほら、私は患者ですよ」 「……患者? そ、それでは、診察を始めましょう」 (今日の所はこの辺でいいだろう……まぁ、この調子なら時間はかからねぇな) 将人は、安堵の表情を浮かべる寛明の様子を、狩りの獲物を見るように観察していた。 **** 内診台に上がった将人は、大股開きで、ぷらぷらと股間に垂れ下がったイチモツを、ことも無げに見せつける。 「さぁ、先生よぉ。ちゃんと診てくれよ。こいつは自慢のイチモツでな。100人からの女を抱いてる代物だぜ」 「で、では……失礼します」 寛明は、キュッキュとゴム手袋を装着すると、なれた手つきで、男のモノを調べはじめた。 竿だの玉袋なの、伸ばしたり縮めたり、こねくり回す。 (ふっ、俺を勃起させようって魂胆か? 万に一つも男に勃起させられる何て屈辱は俺にはない) 「……お尻の方も触診します。よろしいですか?」 「あん? ケツの穴だと……いいぜ、しっかりな」 (今度は、アナルか。まぁ、俺は、プロの性感マッサージでも反応しなかった男だ。好きにすればいいさ) 寛明の手は、ペニスからアナルへ。 何の前触れもなく、指が入っていく。 そして、思った通り、無感覚のまま触診は終った。 **** クリニックの外に出た将人は、呆気なく終った診察に何か物足りなさを感じていた。 (俺は何か期待していたのか? 何か特別な、なにかを?) 「兄貴、どうかしましたか?」 「ん? ああ、なんでもねぇ。今日のところは引くぞ。ああ、そうだ。このクリニックはすぐに落とせそうだ」 「さすが、兄貴!」 おかしな事が起きたのこの後の事だった。 **** 将人は、クリニックからの足で、行きつけの風俗店へと向かった。 お気に入りの娘を指名し、さぁ、一発抜いてもらおうか、となったところで、全く勃起しない事に気が付いたのだ。 風俗嬢は、驚きの声を上げた。 「どうしたの、お客さん。こんなにおしゃぶりしているのに、ふにゃふにゃ。くすくす、こんな事って初めてよね?」 「う、うるせぇ!」 あまりにも、面白がっていじくり回すので、将人は腹をたてて店を飛び出した。 (おかしい……何で、まったく興奮しねぇんだ?……きっと、あのメガネのせいだ!) **** 愛車の運転席に乗り込み、ハンドルをバンと叩いた。 「くそ、あのメガネ! いまいましい!」 確証はない。 しかし、診察の時に何か細工をされた。それ以外考えられないのだ。 「……確か、こんな風に触ってたよな……」 将人は、試しに、診察の時を思い出しながら、寛明にされたように指をアナルに入れてみた。 するとどうだろか。隆々と勃起するではないか。 「なんだよ! 勃起するじゃねぇか! ……し、しかし、ケツ穴をいじるだけで、なんでこんなに気持ちいいんだ?」 アナルに指を入れてそれを出す。 ただ、それを繰り返すだけなのだが、今まで味わった事のない快感が体中を掛け巡り、とうとう病みつき状態に陥った。 「や、やべぇ、いっちまう……いくっ……いくっ、やべぇ! でも、ここで出したら、車汚しちまうじゃねぇか! でも止まんねぇよ……あっ」 ドピュ、プシューッ……。 溜まっていた男のミルクが、見事にフロントガラスに飛び散った。 将人は、いきの余韻に浸る間もなく、再びハンドルを叩いた。 「く、くそっ!」 **** 診療時間が終わる頃。 将人は、クリニックから出てくる寛明を待ち構え、車に押し込んだ。 そして、事務所へと連れ去る。 ガムテープで手枷をさせられた寛明は、最初こそ抵抗をしたが、椅子に座らされ大人しくなった。 項垂れたまま、足元をじっと見つめている。 将人は、裸になり、萎えたままのペニスを突きだした。 「女の裸を見ても、フェラされても、まったく興奮しねぇ。お前、俺の体に何かしただろ? 今すぐ、元に戻せよ!」 しばしの静けさ。 寛明は、くすくす、と肩で笑い始め、次第に大きくなり、最後には、声を上げて大笑いをした。 「私は何もしてない。それがお前の真の姿って事だ」 「何もしてないだと? 笑わせるなよ、俺は100人斬りの男だぞ!」 「くくく……笑えるな。気が付いてねぇのかよ」 顔を上げた寛明の顔は、別人のよう。 (な!? お前、本当にあの気弱そうなメガネか!?) 頼りなさは影を潜め、ギラギラと光る目と大きな口が魔王如く将人の目に映った。 寛明は続ける。 「……つまり100人の女とやってもまだ満足出来ねぇって事だろ。だったら、お前の体は本当は女なんじゃないのか?」 「何だと 貴様!! 俺を愚弄する気か!? 殺すぞ!」 「……ったく、頭の弱いやつだな。なら、分からせてやるよ」 寛明は、すくっと椅子から立ち上がり、手枷を手品の如く取り払って見せた。 そして、服を脱ぎだす。 「心配するな、俺が満足させてやる……100人の女では味わえなかった快感をよ!」 メガネを外したその不敵な笑みの顔は、圧倒的な美青年の顔。 そして、細身と思ったその体は、着やせするだけの完璧な肉体美であった。 **** 逆に手枷をされた将人は、首輪を付けさせられ、椅子に固定された。 なぜか、寛明の指示に抗う事が出来なかった。 何かを期待している自分がいる。そう感じた。 床に正座させられ、寛明に見下ろされる。 顎を強引に持ち上げられ、頬をペロリと舐められた。 将人は、背筋の辺りがゾッとした。 「さぁ、調教を初めようか」 **** 将人の乳首は、新たな性感帯として開発された。 先端を甘噛みされ、吸い付き、引っ張りが繰り返される。 完成したそのエロく突起した部位は、テストを兼ねて思いっきりムギュっとつねられた。 「あ、あぐっ……」 猛烈な痛み。しかし、同時にえも言えぬ快感。 「いい乳首じゃないか? くくく、すっかり、メスの体になったな……感度良好だ。で、こっちはどうだ?」 視線の先には、ガチガチに勃起した将人のペニスがあった。 自慢のペニス。 寛明は、それを害虫をすり潰すようにゴリゴリと踏みつけた。 「うぐ……や、やめろ……潰れちまう」 「良いんだよ。お前はメスなんだから、こいつはもう用済みだろ?」 容赦なく潰しにかかる。 「あぐ……痛い……やめてくれ……うぐ……」 痛さのあまりヨダレがだらだらと垂れた。 ペニスは、真っ赤に腫れ上がり、先端から透明な汁が漏れ出ていた。 「くくく……痛い痛いといっても、気持ちいいんじゃないか? まぁ、ペニクリも敏感なほうがいい……上々だ」 「かはっ……」 将人は、ふらふらと意識が遠のき始め、焦点が定まらなくなっていた。 その将人の両頬に、パチンパチンと平手が飛ぶ。 「白目を向くのはまだ早い。ほら、お前が一番欲しいものをくれてやる」 将人の口に、太い何かが入った。 それは、寛明の男根だった。 ぶっとくて、たくましく脈を打っている。 「ちゃんとしゃぶれよ! こいつが欲しかったんだろ?」 頭を抑えられ、それは喉の奥まで達した。 将人は、苦しくて息が出来ずに咳き込んだ。 「ごほっ、ごほっ……」 「フェラはもっと練習がいるな。調教のし甲斐がある。ふふふ」 寛明は、首輪のロープを引っ張り、将人をうつ伏せにさせた。 そして、極太の男根を、尻の割れ目にあてがった。 「さて、ご褒美の時間だ。挿れてやるよ。せっかく、お前が大きくしてくれたんだからよ!」 「や、やめろ……」 「あん? 聞こえねぇな!」 将人の精いっぱいの声は届かずに、それは体の中に埋っていく。 ブス……ずぼぼぼぼっ。 「うぐーっ、うっ、ううう」 激しい痛みと圧迫感。 ぶっとい異物が体内に侵入する。 拒否反応で、体は弓のようにしなり、小刻みに痙攣した。 「くくく、いきなりこいつを挿れるのは、さすがに刺激的だったか? しかし直ぐに馴染むのがメスの体のいいところだ。いくぜ!」 容赦ない高速ピストン。 「おらおら! どうだ、気持ちいいか?」 「うぐ ううっ……」 肉壁は、擦れに擦れ、すでに麻痺して感覚がない。 しかし、どうだろう。 ピストンの度に体中に心地よい電気が走るのだ。 今までにない夢心地の快感。 男に犯される事でしか得られない、メスだけの特権。 (ちくしょう……こんなに気持ちよくなってちまって、俺の体はどうなっちまったんだ……) 将人の目には口惜し涙が滲み出ていた。 「くくく、泣くほど嬉しいか? お前、なかなかいい雄膣を持っているじゃないか? 締まり具合もぬめり具合もいい。これなら、どこに嫁に出しても恥ずかしくないってな」 更に激しさを増す突き上げ。 将人の体は、小さな後ろイキを繰り返し、もはや自分の意志では制御できない。 体が勝手に、ピストンに合わせて腰を振り、さらなる快感を得ようとしているのだ。 (や、やばい……このままでは本当にメスになっちまう……メスにさせられちまう) 将人は我慢できずに根を上げた。 「う、うっ……だ、ダメだ……これ以上は……頼む……あ、ああーっ!」 「可愛い喘ぎ声出しやがって、俺を誘っているのか? どうしょうもない淫乱だな!」 パチン! 「あううっ、かはっ……」 尻が思いっきり叩かれる。 すでに体中が敏感な性感帯と化している将人は、それだけで快感の域に達する。 寛明は、将人の尻を鷲掴みにした。 「仕方ない……そんなにイキたいのなら、奥までねじ込んでやる!!」 そう言うと、腰をがっちり掴み、極太の肉棒を力の限り押し込んだ。 破裂寸前の下腹部。 「うぐっ…………」 目の前の景色が真っ白になった。 (ダメだ、もう抗う事などできやしない……受け入れるしかない……メスになることを) 「声が出せないほど最高か? くくく、奥の奥で中出しして孕ませてやる! しっかり妄想妊娠しろよ? 俺とお前の子だからな! オラ!」 渾身の突き上げ。 そして、それは雄膣の最奥の性感帯を直撃した。 熱いモノが溢れ、体に沁み込む感じ。 (こんな気持ちいいのを味わってしまったら、もう戻れない……。男を受け入れるってのは……こんなに気持ちいいのかよ……ちくしょう) 将人は、自分の絶頂の断末魔を、薄れゆく意識の中で他人事のように聞いていた。 **** 寛明は、シャツの袖に腕を通していた。 将人は、ぐったりしていた体を起こし手を伸ばす。 「ま、待ってくれ!!」 涙が頬を伝わりポタリと落ちた。 (俺、泣いているのか? そっか、泣いていたのか……) 「……ちゃんとメスの体になれたか?」 寛明は、優しく尋ねた。 将人に、素直に、コクリと頷いた。 「それはよかったな……」 寛明は、将人の頭をポンポンと撫で、そして体を抱き寄せて自分の胸に押しあてた。 体全体をやさしく包み込む。 将人は、嗚咽が止まらない。 「俺は、うっ、うううっ……」 「ふっ、戸惑う事はない。それがお前の真の姿だ。受け入れろ。これからは、無理に自分を作る事なんてしないでいい。正直に生きろ」 寛明は、そう言うと、将人の額に優しくキスをした。 「……俺に抱かれたかったらいつで来い。じゃあな」 寛明は、去っていく。 将人は、その背中を見つめながら、胸の中に芽生えた新たな感情に胸を熱くしていた。 (……俺、先生に恋しちゃったかも……先生、愛しています……) **** 将人の変わり様に、弟分は困惑した。 「兄貴、いったい、どうしちまったんすか!」 「俺は、この稼業から足を洗ったんだ。後は、お前は好きにしな。ただ、あのクリニックに手を出すような事があったら、誰だろうと殺す。いいな?」 「ちょ、ちょっと! 兄貴!」 将人は一度も振り返らずに去って行った。 **** メンズクリニックの待合室。 今日は、メスに目覚めた男達のメンタルケアが行われる日、なのだが大いに賑わいを見せている。 患者全員が寛明の手によってメス化した訳ではないにしろ、一度、寛明のケアを受けたら最後、他へはいけない体となってしまう。 それほどまでに、寛明のテクニックは甘美、いや優秀なのだ。 そんな、もんもんとする男達のメスフェロモンが充満する中に、将人の姿はあった。 (先生! 俺、また先生と子作りしたいです! たくさん俺のお腹に子種を下さい!) キラキラした目で、今か今かと順番を待っているその姿は、まるで旦那の帰りを待つ新婚妻のように見えた。

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