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妖たちって意外と……?

「寄ってて寄ってて、毎日が特売日だよ! 今日のおすすめは朝イチで上がってきた」 「魚釣りたての新鮮新鮮! おれの店はハズレなし!」 「今日は特別入荷! 今日を逃したら次はいつ入るかわからない、さぁ買った買ったぁ!」 俺は市場? マーケット? とでも言うのかとても騒がしい。 あちこちにお店が立ち並び妖たちが声を上げて売り込んでいる。 俺はそんな人混み(妖混み?)の中をぶらぶら歩いている。 早く入ってきた場所に行けばいいんだけどあちこちからいい匂いや面白そうなものがあるから都度足を止めてみてしまう。 「おや、あんた表先生のとこの人間かい?」 「えっ、あ、うんそうです」 「良かったらうちのもん見てってよ。人間の世界にはないもんいっぱいあるよ」 気の良さそうな猫の獣人みたいな妖が声をかけてきたからお言葉に甘えて入らせてもらう。 中には熊の手みたいなやつとか鶏の足みたいなやつとか…… 動物の部位がいっぱい置いてある。 「人間はどうか知らないけど私たち妖はさ、こう言うのも食べたりすんのよ。 妖には食事は必要ないんだけどね。 まあ趣味みたいなもんさ。 なかなか見れないだろ?」 「……まあ確かにあまり見ないっすね」 俺は怖い、と言うより面白いという感情の方が勝る。 あれだ、モンスター狩るゲームとかぐらいでしかこんなの見たことがなくて。 十四歳の好奇心旺盛な俺には置いておるもの全てが面白くて猫の獣人みたいな妖……名前はニャンさんと言うらしい、に説明も受けながら楽しく見て回る。 「おーいニャン、修理終わったぞー……ってお、おおおお、お前人間か?!」 ひょっこり顔を出したのは鶏頭の妖。 ぎょろぎょろと目が動いてるのがちょっといや、普通に怖い。 「おお、あんがとね! そうよ、この子最近迷い込んできて今は表先生のとこにいる人間の子よ」 「う、うううううう、うわっまじか! 俺人間に会うの久々なんだよ。 あ、ああああああ、握手してくれ」 差し出されたのは普通の人間みたいな手。 少し躊躇いつつも手を握り返すと鶏頭の妖がコケー! と叫ぶ。 と同時にポンっと音が鳴り俺がよく知る鶏の姿になる。 「なっ、なにっ?!」 「ありゃ、あんた見るのは初めてかい? 私たちみたいな動物系の妖はね普段は人間に近い姿に変化(へんげ)してるけど興奮しすぎたりすると元の姿に戻っちまうのよ」 そうこう話しているうちに鶏頭の妖は出会った時の姿に戻る。 「い、いいいいい、いやすまねぇ。 俺っちとしたことが嬉しすぎてよ。 よ、よよよよよよ、よかったら人間よ、うちの店に来ねえか?」 「ありゃいいじゃないか。こいつ変なやつだけどねここらで一番の腕持った修理士なんだよ。 修理と道具の店って感じだね。 私の店より面白い妖術使うための道具とかもあるんだよ。 人間でも変化の術使えるようになるものもあるし」 俺は目を輝かせる。 別世界あるあるじゃん! 魔法道具みたいなのがあるってことなんだろ? 行くっきゃないじゃん。 ニャンさんの店を後にして鶏頭、コケ蔵と名前らしい、についていく。 コケ蔵は何故かすごくかくかくしながら歩いているが妖の歩き方がそうなんだろうか。 「つ、つつつつつつつ、ついたぞ。 ここおここおおけ、ここが俺の店だ」 ぱっと見すごく小さなお店だが中に入ると店内がすごく広く見たことない道具や武器らしきものまで置いてある。 これもまた何かの妖術なのかな。 「なあなあ、これって何? この道具ってどうやって使うの?」 「子、ここここここれか?! これは主に……」 「この鎌みたいなのって何に使うんだ?」 「そ、そそそそそ、それはな一振りするとあたりの雑草がことごとく狩れる鎌だな。 ちょっと歯が描けたから修理予定のものだ」 「こっちの液体は?「そ、そそそそそれはダメだ! 妖が夜に使うもんだ!」 目的も忘れ俺は次から次へと聞いては楽しんでいる。 するとコケ蔵が恐る恐ると言った様子で口をひらく。 「あ、あああああ、あんたは俺のこと怖くないのか?」 「なんで?」 「い、いいいいい、いや、お、おお俺は昔人間の世界にいたこともあったが。 ……人間は俺の姿を見ると怖がって近寄ってきてくれなかったんだ。 だからあんたみたいに怖がらずに話してくれるのって初めてでさ」 あー…… まあ俺も初めて見たといはうわってなったけど。 でもあんだけ妖に舐められたりした後だとそこまで怖いってならないんだよな。 しかもコケ蔵面白いし。 「別にコケ蔵怖いって言うより面白いって思ってるし」 「お、おおおおお面白い?! 俺が?!」 「なんなら友達になりたいって思うぐらい」 「あああああ、挙句には友達になりたいだって?!」 コケー! と叫んだと思うとこてん、と鶏の姿になり床に寝転ぶコケ蔵。 俺は妖の世界で初めての友達ができた瞬間だった。 あ、ちなみにその後俺がきた時の方に行ってみたけど特に何も起こらず表の家に戻りました。 まあ、楽しかったからいいか。 妖の世界に来て一番と言っていいほど楽しい日だった。

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