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番外編 26歳組
スーパーに着いてカゴを持った相馬は、そのままボンボンと食材を入れていく。
「ラーメン食べたい」
「ラーメン?何味?おすすめは豚骨醤油かなあ。これ美味いよ」
「それでいい」
帰ったらこれを食べて、少し眠ってから仕事に取り掛かろう。
頭の中で予定を立てていると、「チョコレートとぉ、あ、クッキーも食べたい。」と相馬に腕を引かれてお菓子のコーナーにやって来た。
「お前は?何食べる?」
「いらない」
「じゃあお前の分まで俺が買おうっと」
カゴにお菓子を入れて、やっとレジに行き会計をする。思っていたより高い。絶対にお菓子はいらなかった。
「仕事あるのにそんなに食うのか?」
「いや、仕事の合間に食べるんだよ。腹減るだろ。」
「······集中してたらそれどころじゃないだろ。」
「お前さ、何か······あー、そんなに仕事好きなの?」
「あ?」
変なことを言われて、低い声が出た。
袋に買った物を入れながら、相馬は話を続ける。
「仕事のことばっかり考えてたら頭おかしくなるって。俺らってまだ26だぜ?遊びたい年頃だろ?」
「いや、社会人としてシャキッとしろよ。」
「普段はしないよ。肝心な時だけね。」
荷物を持ってスーパーを出る。
やっぱり、相馬とは根本的な部分が違うんだと思う。
「お前、なんでこの世界にいんの。」
だから、ずっと疑問だったことを聞いてみる。「唐突だなぁ」と小さく笑って、けれどすぐに真剣な顔付きになった。
「ヒーローって、皆憧れるだろ。」
「······それで極道?普通はそうはならねえだろ。」
「んー······世間にとってのヒーローじゃなくて、誰かのためのヒーローでいいんだ。俺はそれになりたかった。」
相馬にしては至極真面目な答えだった。いつもは真剣な話の時ほどおちゃらけているくせに。
「その、誰かのヒーローにはなれたのか?」
「いやぁ、今のところ誰のヒーローになればいいのかも分かってねえから、まだなれてねえな!」
ちょっとだけ、相馬にもちゃんと考えていることがあって、信念を貫こうとしているんだと思ったのに、まさかのオチ。ふざけてるのか?と思ったけれど、そんな素振りはない。
「死ぬまでに1人でいいから、誰かを助けられるような人になりたいなぁー!」
そんな事を言うもんだから、やっぱり無邪気で無垢な相馬を──······俺は苦手に思うんだ。
番外編 26歳組
END
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