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第5話
いつの間にか気を失っていたようで、目を覚ますと志乃さんが隣に眠っていた。
手首の拘束は取れていて、代わりに左足首に部屋から出られないようにと枷とどこかに繋がる鎖を付けられていた。
「···手、痛い」
今まで拘束されていた手首には痣ができていて、擦れたせいでできた傷が痛い。
「何が痛い」
「っ!」
志乃さんが目を開けて俺を見ていた。
咄嗟に隠した手。疚しいことなんてないのに。
「···手か。手当するぞ」
「い、いらない、です」
「ダメだ。」
志乃さんが上半身を起こす。
上の服は何も着ていなかった志乃さん。バキバキに割れた腹筋に逞しい身体が羨ましい。
「起きろ」
「···痛い、です」
「ちっ」
舌打ちをされて、音は小さいはずなのに大きく聞こえる。
「中のも綺麗にしなきゃなんねえし···面倒くせぇな···」
「············」
ならさっさと解放してくれたらいいのに。
そう思いながら志乃さんを見ると、その思いが伝わってしまったようで、また舌打ちをされる。
「先に風呂に行くぞ」
「っわ」
志乃さんに抱っこされる。
慌てて志乃さんの服を掴んで落ちないようにする。
「し、志乃さん···」
「何だ」
「···面倒なら、俺を、帰してくれませんか···?」
「帰るってどこにだ。両親も頼れるやつもいないお前に、帰る場所があるのか」
ヒュッと喉が鳴った。
そんな言い方、しなくてもいいのに、酷い。
何も言い返せずにいると、段々とうまく呼吸ができなくなって、手足が震え出す。
「ひっ、ひ···っ、ぅ···」
「はぁ···。ゆっくり呼吸しろ。」
「っぁ、···ひっ」
俺が首を振ると志乃さんは俺に顔を近づけキスをして唇を塞いだ。
息が吸えなくて苦しい。
「っ、ふ、ぁ···」
舌を入れられて口内を蹂躙される。
苦しい中に気持ちよさが芽生えて、次第に呼吸は落ち着き体から力が抜けた。
「···お前はここにいればいい。そうすれば何不自由なく過ごせる」
「···そんなの、望んでない···」
「俺が決めた。お前はもう俺の物だ」
ぼーっと志乃さんを見上げると、志乃さんも俺を見下ろしていた。
「···志乃さんは、俺をどうしたいん、ですか」
「さあ?まあそうだな。俺が居なきゃ、死ぬようにしてえな」
「···怖い」
「怖くねえよ。もう落ち着いたな。風呂行くぞ」
志乃さんは何を考えてるのかわからない。
怖い。
初めて会ったのにも関わらずに俺を知っていたこととか、全部、全部。
「梓、聞いてるか」
「···ぁ、ご、めんなさい···」
いつの間にかお風呂にいたようで、志乃さんは俺を床に下ろす。
「俺にもたれてろ」
「はい」
向かい合うように、まるで抱きしめられているように、志乃さんが俺の背中に手を回し、シャワーを片手で掴んで俺のお尻に当てる。
空いていた手。中指と薬指を音を立てながらゆっくり後孔に挿れられて、中をゆっくりと弄り出す。精液を掻き出されているだけなのに、ビクビクと反応してしまう俺を、志乃さんはどう思っているんだろう。
「っ、はぁ···っ、」
「力入れるな」
「ごめ、なさい···」
中を綺麗にされた後、俺は地面に座り込んだ。
そんなことは志乃さんにとってはどうでもいい様で、俺の体や髪を洗うと、さっさと自分自身も綺麗にしてお風呂を出る。
「手当したら飯な」
「···志乃さん、仕事は」
「昼から出る。明日の朝までは多分、帰ってこねえ。」
「···俺は、どうしてたら、いいですか」
「飯食って寝てろ。暇なら家の中でなら自由にしてていい」
その後、俺の手の傷を手当して、ご飯を食べると、少しして志乃さんは家を出て行った。
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