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第13話

冴島は30分もしない内にやって来て、梓を見た途端クスクスと笑い出した。 「志乃がこの子をねぇ。で、今はどういう関係?」 「言わねえ」 「ふぅん。」 楽しそうに梓を診て、「軽い扁桃炎だね」と言った。 「飲み込むの、喉が痛くて辛いと思うよ」 「だから飯を食わなかったのか?」 「食べてないの?ヨーグルトとかある?」 「···多分」 「何回かに分けて食べさせてあげて。」 鞄を漁る冴島が俺に「はい」と渡してきた錠剤。 「多分、夜になると熱が上がるよ。38度を越したらこれを飲ませてあげて。こっちは朝と晩に1つずつね」 「···わかった」 「で、今日は仕事は?」 「ある。もう行かねえと」 そう言うと溜息を吐いた冴島。 「俺、この子見ておこうか?別に何も言うつもりも、聞くつもりもないし。志乃が帰ってくるまで見ててあげるけど」 「···頼む」 「うん。わかった」 冴島は信用できる。 すぐに仕事に行く支度をして、車を寄越すように部下に連絡をした。

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