13 / 292
第13話
冴島は30分もしない内にやって来て、梓を見た途端クスクスと笑い出した。
「志乃がこの子をねぇ。で、今はどういう関係?」
「言わねえ」
「ふぅん。」
楽しそうに梓を診て、「軽い扁桃炎だね」と言った。
「飲み込むの、喉が痛くて辛いと思うよ」
「だから飯を食わなかったのか?」
「食べてないの?ヨーグルトとかある?」
「···多分」
「何回かに分けて食べさせてあげて。」
鞄を漁る冴島が俺に「はい」と渡してきた錠剤。
「多分、夜になると熱が上がるよ。38度を越したらこれを飲ませてあげて。こっちは朝と晩に1つずつね」
「···わかった」
「で、今日は仕事は?」
「ある。もう行かねえと」
そう言うと溜息を吐いた冴島。
「俺、この子見ておこうか?別に何も言うつもりも、聞くつもりもないし。志乃が帰ってくるまで見ててあげるけど」
「···頼む」
「うん。わかった」
冴島は信用できる。
すぐに仕事に行く支度をして、車を寄越すように部下に連絡をした。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!