15 / 292
第15話
薬を飲んだらベッドで寝るように言われて、大人しくそれに従った。
「志乃が眞宮組の若頭だってのは知ってるかな?」
「はい」
「そう。なら君の事が街で噂になってるのは?」
「え···?」
噂にって、何のだろう。
冴島さんを見ると苦笑を零して「志乃が君を監禁してるってね」と言った。
それを聞いて背中にゾゾっと嫌な感覚が走る。そんな噂が立っていただなんて知らなくて、怖くなった。
「でも安心したよ。志乃が君に暴力を振るってなくて」
「暴力···」
あれは、性的暴力では無いのだろうか。
昨日だって身体を散々弄ばれて、その結果がこれだ。喉が痛いのも、昨日、声を出し過ぎたからな気がする。
「さて、他に聞いたいことは?」
「···今は、思い付かない、です」
本当は聞きたいことは山ほどあるのに、頭がうまく働かない。
「そうだね。じゃあ眠った方がいい。志乃が帰ってきたら起こした方がいいかな?」
「···今日、帰ってくるんだ···」
「それはわからないけどね。君の様子を見て起こすかどうか考えるよ。今はおやすみ」
目元を掌に覆われる。
暗くなった視界。途端、眠気に襲われて意識を手放した。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!