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第18話 梓side

ポンポン、と肩を軽く叩かれて目を開けると冴島さんがいた。 「志乃、帰ってきたよ」 「···志乃、さん」 喉がカスカスしていて、話すことが億劫だ。 「何か飲もうか。話すの辛いよね」 「···志乃さん、は···?」 「志乃は今お風呂入ってるよ。」 「···寒い」 「熱上がってきてるもんね。ちょっと待ってて、志乃に布団何処にあるか聞いてくるから」 そう話していると志乃さんが部屋にやって来て俺の顔を覗き込む。 「志乃、寒いって言ってるよ。布団出してあげて」 「無いな」 「···仕方ないな」 志乃さんは俺の頬を撫でて「ただいま」と言った。それに頷いて返すと隣に寝転んで抱きしめられる。 「お前の厚めの服を着せてやれ」 「そこら辺」 志乃さんと冴島さんが話しているのを、まるで自分だけ離れた場所にいるような感覚で聞いていた。 「···志乃、さ···」 「何だ」 志乃さんの腕を掴んで、ぼーっとしながら志乃さんを見上げる。 「·········」 「辛いなら寝ろ。無理に起きてなくていい」 「···志乃、さん」 「···············」 志乃さんを見ていると、遠い昔に一度彼に会ってる様な気がした。 何でだろう? 「俺、志乃さんと、どこかで···会った···?」 「······気のせいだ。寝ろ」 大きな手に目元を覆われて暗くなる。 途端、電池が尽きたみたいに、体が動かなくなって、意識が飛んだ。

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