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番外編 傷ついたので
梓は腕に白い袋を抱きしめて店を出た。
立岡はルンルンとコインパーキングに戻って、助手席のドアを開けカチコチに固まっている梓を座らせると、出庫処理をして運転席に座る。
「あとは欲しい物ない?」
「無いです。早く帰りましょう。これを持ってる自分が恥ずかしい」
「え、今更恥ずかしいの?それにそれくらい結構な人が持ってるって。」
「早く、車を、出して」
「ハイハイ。お姫様」
なんやかんや、顔の可愛い梓にはこの男も弱い。
梓はマンションについて車から降りると、立岡にお礼を言った。それから今日のことは誰にも言わないでと。
立岡はニッコリ笑って頷いた。
電話口で梓から話を聞いた時、立岡は志乃がどんな思いでセックスをしたくないと言ったのかがわかっていた。
決して梓に魅力を感じなくなったわけではなく、ただ自分のプライドを傷つけられてショックを受けているだけなのだと理解して笑っていた。
ただ梓がそれに気付いていないので余計に面白くて、今回の話にノッた。立岡は満足そうにニンマリとしている。
「じゃあ、あの……ありがとうございました。」
「うん。頑張ってねぇ」
エントランスに入っていった梓を見てから、店で隠し撮りした梓の写真(ディルドを手にして苦笑いしている姿)を見て志乃に送ってやろうかと悩んだが、やめておいた。
梓が何とか志乃との仲を復旧させようとしているのに、余計な喧嘩を増やしてしまっては可哀想だと、今回は真面目に判断した。
■
家に着いた梓は早速、白い袋から購入した品物を取り出した。
ミニスカのナース服。それからガーターベルトにニーハイソックス、丁度後孔辺りにスリットの入った白レースのスケスケパンツ。そしてそれとセットになった今度は乳首の部分にスリットのあるブラジャー。最後に黒のロングストレートで前髪が揃えられたウィッグ。
改めて見るとあまりにも自分が変態くさいと思えて、梓は顔を真っ赤にした。
けれどここまでしたなら着るしかないと、急いで食事を作りシャワーを浴びて早速下着を身につけた。
それから、志乃がいつ帰宅するかもわからないので、ガーターベルトとニーハイソックスも履いて、ナース服を着た。最後にウィッグを被る。
姿見の前に立ち、あまりにも短いスカートの裾を掴んでグッグッと下に引っ張る。
「ぅ、これ、こんなの、本当に……」
僅かに手が震える。
緊張して喉がカラカラと乾いて、水を沢山飲んだ。
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