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番外編 傷ついたので

梓はソファーに寝転んだまま、フワフワあくびした。 その内志乃がやって来て、ソファーを背もたれに床に座る。 「志乃」 「何」 志乃は梓を見て、口角をキュッと上げる。 珍しく嬉しそうな表情をする志乃に、梓は『ああ、怒っていないんだ』と思った。 「もう怒ってない……よね?」 「ああ。満足した」 「……またセックス、してくれる?」 「そのことだけど、お前に魅力がないとか、そんな理由でセックスしたくないって言ったわけじゃないから。」 「え」 必死に準備をしたのに、努力するのはそこじゃなかったらしい。 梓は眉間に皺を寄せる。 「じゃあ……何だったの?」 「言わない」 「何で!教えて!」 「嫌だ」 志乃は梓から視線を外し、テレビをつけた。 梓は少し腹を立てて志乃から離れたくなり、無理矢理体を起こし、立とうとしてドシャっと崩れそうになる。 咄嗟に志乃の逞しい腕が腰を支えてくれた。 「立てないんだから大人しくしてろ」 「立てなくしたのは志乃のくせに」 「うん。だから俺が世話するよ」 「……なんでそんなに嬉しそうなの」 「さあな」 得意げな表情を見せる志乃。 梓はやっぱりどこか不満で、ポカスカと志乃の腕を叩きつつ「トイレ!」と大声で言った。 志乃はハハと笑って梓を抱き上げ連れて行く。 「また昨日みたいな格好して遊ぼうな。可愛くてエロかった」 「もうしないよ」 「あんな趣味があるって知らなかったからな。また準備しておくよ」 「趣味じゃないもん……」 梓は赤くした顔を志乃の肩に隠す。 志乃はそんな梓がやっぱり可愛くて、首筋と、赤くなった耳にちゅ、ちゅっとキスを落とした。 傷ついたので 了

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