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番外編 ときにはちがったことも

「ぁ……」 「力抜いてろよ」 唾液で濡れたペニスが宛てがわれ、梓は力を抜くどころかむしろ力んだ。 志乃はハッと笑って、構わず挿入する。 「ぅ、あ、あぁぁ……っ」 「はぁ……」 半分程入った頃、志乃は梓の腰を強く掴み、奥まで一突きした。梓はグルンと瞼の裏を見て痙攣し、プシャっと潮を吹く。 休む間もなく律動し、梓は激しく声を上げて志乃に「許して」と願った。 けれど梓はこうして酷くされることも好きなので、『やめて』『許して』とは言っていても心の中では興奮しているのだ。 志乃もそれがわかっていたので止めはせず、今は結腸を抜こうと最奥に先端をグリグリと押し付けている。 「開けろ」 「は、はっ、ヒッ、ぃ……」 「もうグズグズになってんぞ。全部欲しいんだろ。」 「ぁ、う、う、ほし、い……は、はぁっ、は……」 「ん、いい子。上手だ」 志乃が梓の頬を撫でた。梓はそれだけで軽く絶頂して、脱力しそのタイミングで結腸を突いて開かれ、続けて中でイッてしまう。 梓は無意識に足を志乃の腰に絡める。離れたくなくて僅かに力を入れると志乃は笑って背中を屈めキスをした。 深く舌を絡め、ちゅ、ちゅ、と音を鳴らしながらキスを繰り返し、そのうち志乃は梓の手の拘束を解いた。 自由になった手を志乃の首に回す梓は、快感で蕩けながら小さく笑みを浮かべていた。志乃に抱きつけたことが嬉しかった。 「梓、出すぞ」 「ん、っふ、ぅ、あ、あ、あぅ、あ……!」 梓はお腹の中が熱くなるのを感じて嬉しくなった。 志乃は僅かに呼吸を荒らげ、梓を強く抱き締めると深く息を吐いてペニスを抜いた。 ■ 「最高に気持ちよかった」 「そうか」 「ちゃんと愛してくれてるってわかった上で、たまにこういうプレイするの、好きかも。」 「かもじゃなくて、好きだろ。」 プレイを終えたあと、風呂に入る二人。 湯船に浸かってぼんやりしながら会話をする。 梓は志乃にもたれ、右手を志乃の右手と重ねて恋人繋ぎをし、左手でお腹を撫でた。 「まだ入ってるような感じがする。久しぶりにすっごく激しかったからかな。」 「奥までしたしな。痛くなかった?」 「うん。大丈夫」 志乃の左手が梓の左手を覆う。 梓は擽ったい気持ちになる。 振り返ると志乃にちゅっとキスをされた。 「でもやっぱり優しい志乃が一番好き」 「俺も、梓を甘やかしてる時が一番楽しい。」 「あー、好きじゃないの?」 「好きはいつも」 恥ずかしげも無くそう言った志乃に、梓は顔を真っ赤にさせて照れたように笑った。 了

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