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第41話

「機嫌が悪いのか?」 「悪くない」 「体調か?」 「それも悪くない」 志乃が俺の隣にやって来て、俺の腕を掴む。 「ならどうした。」 「な、何でもない。ごめんなさい」 「そうか。」 俺の腕を掴んでた手が離れる。 「ぁ···」 「あ?何だ」 「···いや、あの···」 「何だよ」 手が離れたのが嫌だった、なんて言えるはずがない。だから志乃を睨みつけた。 「···誘ってんのか?」 「違う」 「あ?じゃあ何だよ」 「···もういい」 「は?何キレてんだよ。どっちかっていうと怒るのは俺だろうが」 そんなことを言う志乃を無視して「お風呂入る」と言うと舌打ちをされた。 それをされると傷つく人もいるんだって教えてやりたい。 「それされると嫌な気分になる」 「そうだろうな。そうなるようにしてるんだからよ」 「性格悪すぎ」 「お前だってそうだろ。何かを言いたげにしてるくせに指摘されると言わねえんだからよ」 そう言って煙草を吸い出した志乃。 危ないってわかっていたけど近くにあった箱ティッシュを投げつけた。 「あぶねっ!···梓、していい事と悪い事の判断つくか?」 「そんなの志乃に言われたくない!」 「チッ···風呂入るんだろ。さっさと行けよ、鬱陶しい」 志乃にそう言われて少し恥ずかしくなった。 部屋を出て風呂場に向かう。 長い間ここを占領してやろうと、またしょうもないことを考えていた。

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