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第48話
怠い体を無理矢理起こし、お風呂場に向かう。中に出されたらしい精液が出てきそうで、体を汚す精液が垂れそうで、シーツに包まって移動した。
お風呂場に着いて温かいシャワーを頭から浴びると涙が溢れて、体から力が抜けて床にペタンと座り込んだ。
「っ、ふ···ぅ···」
シャワーが汚れを流してくれて、ゆっくり動いて中も綺麗にした。早く出ないとと思うけれどそこで体は動かなくなって、蹲るしか無かった。
どれ位時間が経ったのか、暫くしてお風呂場のドアが勝手に開いた。顔をそっちに向けると志乃が立っていて、勝手に体が震えだした。
「おこら、ないで···っ、ごめんなさい、ごめん···っ、嫌だ、殴らな、で···っ!」
「············」
自分で自分の体を抱きしめる。
あれ、何だか俺、こんな事があったの今日が初めてじゃない気がする。
「ぃ、や···殴らないで···」
志乃が俺に手を伸ばす。
それを見た途端、大きな男の人が手を振りあげたような姿が頭の中に映像として出てきた。
「────嫌ぁッ!!」
「······悪かったよ」
志乃のそんな声が聞こえた後、フワフワしたタオルで体を包まれる。
浮遊感が襲ってきて、志乃に抱っこされてるんだと理解して、それからリビングに行き、ソファーに降ろされた。
「着替え持ってくる」
「···お、怒らない···?もう、怒ってない···?」
「怒ってない。」
志乃はリビングから消えて、でもすぐに俺の服を持って帰ってきた。
「着ろ」
「···っ、き、着る···でも、体、動かない···っ」
「············」
そう言うと志乃は黙って俺に服を着せてくれた。冷え始めていた体は服を着ても少し寒くて、隣にいた志乃にピッタリとくっついた。
それに対しては志乃に怒られたり、文句を言われたりもしなかったから、俺はしばらくそのままでいることにした。
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