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第57話 R18

「お疲れ様です。」 「ああ。···俺の仕事は終わった。お前にやる俺の時間は今からがいいか?それとも、朝になってからか?」 「···今からがいいです。」 「わかった」 煙草の火を消し、一度深く息を吐く。仕事をしていたから自然と尖らしていた神経を落ち着かせて、「どうした」と夏目に問いかけた。 「志乃さん」 「何だ」 「···お願いです、抱いてください」 「話はねえのか?それだけでいいのか?」 詰めるように聞くと夏目は唇を噛んで何かを耐えている。夏目と出会ったのは高校二年の頃で、夏目は高校一年生だった。 あの頃から、何も変わらない。何かを言いたい時程我慢する。自分自身が壊れてしまっても、関係なく。 「斗真(とうま)、言え。怒らない」 夏目斗真、それが夏目の名前だ。 「···っ、志乃さん···志乃さんが、いいんですっ、他は誰もいらないっ!俺は···っ」 「落ち着け。こっち来い」 ゆっくり歩いて俺の側に来た夏目。 腕を掴み引き寄せて、俺の肩に夏目の頬が当たる。途端、震えて泣き出した夏目は、梓が来てからずっと我慢していたのかもしれない。 「大丈夫だ。」 「志乃さ···っ、お願い、抱いて···独りにしないで···っ」 そう言って泣く夏目にキスをして、ベッドに移動し抱き締めた。 人格が崩壊する。過度なストレスは人を苦しめる。 「志乃さん···」 それを身をもって知った経験があるのに、まただ。 「ああ、大丈夫」 夏目にもう一度キスをし、服を脱がせる。 体にあるいくつもの傷は俺がこの世界に連れ込んだから出来てしまった。 「触るぞ」 夏目の素肌に触れて、体温を感じる。梓より少し低い体温。何度も体を重ねているからか、この体温は落ちつく。 「はぁ···ぁ、あ···」 「足閉じるな」 夏目のペニスに触れると足を閉じようとしたから、それを制し、膝を立てさせて左右に足を割る。ベッドの横にある棚の中からローションを出して、後孔に塗りこみ、早く繋がれるようにとノズル付きのローションを後孔にいれて、中も濡らした。 「ひっ、く···つめた、あぅ、んうぅっ!」 「夏目、どうされたい」 「っ、ひ、酷くして···」 「わかった」 夏目の心を満たしてやらないと、またいつか間違いを起こすかもしれない。 「好きなだけ感じろ」 「ぁ、あぁぁっ···!」 そうして、長い夜が明けていった。

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