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第77話

「何買おっかなぁ。昨日たくさん買ったんだよね?」 「買いました。」 そのままスーパーに寄って食材を買うことになった。昨日買った覚えのあるものは伝えたから被ることはないと思う。 「酒飲みたいな、いい?」 「はい。」 「梓君は飲める?」 「あ···飲むなって志乃に言われたから飲めないです。酔っ払っちゃって記憶なかったことがあって···」 「あはは、弱いんだね。」 買い物カゴにお酒を入れる立岡さん。 それから野菜やお菓子を入れて会計を済ませる。 「こうやって買い物するの、久しぶりだな」 「そうなんですか?」 「ああ。普段は部下に行かせてるから。俺の仕事の事言ったっけ?」 「いえ、あまり」 買ったものを袋に詰めて、車に戻る。 「基本は情報屋なんだよ。でも志乃に頼まれた事は何でもしてる。運び屋も、殺すこともね。大切なことは自分でするけど、俺にも部下はいるんだ。それに一応だけど俺は眞宮組のメンバーでもあるからね、あそこの組員も俺の部下にあたるわけ」 「···情報屋、って···」 「色んな人や会社の情報を売るんだ。それに趣味で調べたりもする。君の父親を捕まえたのも志乃に依頼されたから。情報収集から捕縛までやったよ。その後は知らないけどね」 発車した車は俺の家に向かう。 その間、立岡さんはずっと話をしていた。俺が聞きたいことや、気になっていることは立岡さんには全部わかるようで、その答え合わせのような時間だった。 「あ、大切なこと言うの忘れてた。」 家について部屋に入る。 立岡さんはそう言いながら靴を脱いで、俺をじっと見た。 「志乃は君の事が大切なんだよ。」 「え?」 「君が居なくなってから、誰よりも熱心に君を探していた。君が居なくなってしまったから、何の力も持っていない志乃は、今のままじゃ君を見つけられないと思って···眞宮組の若頭になる決意をした。」 「············」 「力がないから守れない。なら力をつけるしかない、ってね。きっと君が思っている以上に志乃は君を溺愛してるし、手放したくないはずだよ。···でも許してやって、志乃は仲間を裏切れない」 それは夏目さんのことを言っているんだろう。頷いた俺に優しく笑いかけてくれた立岡さんはそのままキッチンに行きご飯を作ってくれる。 「俺お風呂洗ってきます」 「はーい」 お酒を買っていたし、立岡さんはもしかしたら泊まっていくのかもしれない。入念にお風呂を洗おう!と服の袖を捲った。

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