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第110話
吐き気にやられてまともに前も見れない。
速水さんもは外に出されて銃を突きつけられながら両手を挙げヘラヘラとしている。
「お前ら何処の奴?俺達が眞宮組やってわかっててやってるん?」
「ああ。知ってる。」
速水さんはそのまま、お腹を蹴られて地面に倒れる。骨と骨がぶつかる音が幾つも聞こえてきて、呼吸が早くなった。
「これが眞宮志乃が大切にしてる奴?」
髪をぐいっと持たれ、顔をあげさせられる。
途端、胃の中のものが上がってきて、地面に嘔吐した。
「ははっ、こいつ吐いてやがる。汚ぇな」
苦しくて床に倒れ込む。俺も殴られるのかな、なんて思っていると足音が聞こえてきて、顔をあげれば速水さんがすぐ横に立っていた。
「酔ってもうた?大丈夫?」
「···だ、大丈夫。速水さん···?」
「ん?大丈夫やで、梓くんには怪我させへんからね」
そう言って笑った速水さん。口の端が切れていて血が出ている。
「お前ら、わかってると思うけど···この人はうちの組が守ってる大切な人や。これ以上この子に触れてみろ。」
速水さんは、どこからが銃を出してニンマリと笑う。
「死ぬぞ」
そう言って、さっき俺の髪を掴んでいた男の足を撃ち抜く。乾いた発砲音が頭の中を真っ白にさせた。辺りは撃たれた男の声が響く。
「梓くん。大丈夫やから耳塞いで、目閉じて。」
「速水さん、は···?」
「心配せんでええよ。もうすぐしたら仲間が来るから。でもそうやな···これ渡しとくから、何かされそうなったら使い。」
渡された小型のナイフ。それを持つ手が震える。
「いい子。怖ないよ」
速水さんがゆっくりと動き出して、それを目に移した後、言われた通り目を閉じて耳を塞いだ。
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