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第125話 志乃side

「どこ行くんですか?」 「秘密だ」 夏目を助手席に乗せ、行き先も告げずに車を運転する。 あらかた予想はついている様で、夏目の体は強ばっていて、申し訳なくも感じた。 「な、なんで···?俺、何か悪いこと、しましたか···?」 そして怯えたような声でそんなことを聞いてくる。 「してない。ただの俺の我儘だ」 「志乃さんの、我儘···。それは珍しいですね」 「そうか?」 「はい。だから···どこに連れてかれても、嫌じゃないかもしれない」 それが本当ならどれだけ有難いだろう。 手を伸ばし、夏目の頭を撫でると嬉しそうに笑うから、この笑顔を消してやりたくない。 「···着いた」 「···はい」 着いた場所は夏目の実家で。 今日で、終わりにする。 この不安定で複雑な、名前をつけることの出来ない関係を。 「おかえり、斗真」 「···た、だいま」 震える声を聞きながら、そう決意した。

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