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第131話

梓はどうやらずっとここにいたらしい。 そのずっとがどれだけの期間かは知らないが、目の下に作られたクマを見て申し訳なくなる。 「どれくらい寝てた」 「ざっと2週間かな。梓君はお前に似て強情だね。寝ようともしないし、食事もそこそこしか取ってない。さっきは無理矢理家に連れて帰るよって言ったから眠ってくれたんだ。」 梓が「言わないで下さいよ」と冴島に文句を言っている。 「梓が強情なのは知ってる。···でも、飯を食わねえのは叱るべきだよな」 「だ、だって!なら志乃が早く起きたら良かったじゃん!」 「···まあ、そうか」 怒る梓に冴島は笑顔を向ける。 「だから、起きてくれてよかったよ。もうこれ以上は梓君の体がおかしくなっても不思議じゃないからね。」 「ならよかった。梓はちゃんと飯を食えよ」 「うん」 ふぅ、と息を吐けば胸あたりが痛む。骨が折れてるんだろうなと思う。 「一ヶ月程度で退院できると思う。それまではどうする?」 「本家に預ける。立岡は帰ってくるにしても向こうでの仕事もあるだろうからな。まだ暫くかかると思うし」 「そうか。なら今から送るよ。」 「頼む。梓、暫く親父のところにいろ。」 嫌そうに顔を歪ませる梓。それは親父が嫌なんじゃなくて、俺から離れたくないんだろうと勝手に推測した。 「···明日も来る」 「ああ」 梓が俺に抱きついてきて、可愛いなと抱きしめ返した。

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