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第133話
久しぶりの志乃の家。息を吸い込めば志乃の匂いがして落ち着く。
「梓、悪いけどそれ持って」
「うん」
左腕は骨が折れていたからまだあまり使えない。荷物を持ってリビングまで運ぶ。
「はぁ···久しぶりの家だと落ち着くな」
「病院の居心地は悪かった?」
「居心地が悪いというか···安心はできなかった。」
「そっか。じゃあ今日はもう何もしないでゆっくり休んで」
荷物を置いて、志乃にそう伝えるといつの間にか俺の後ろに立っていた志乃に引き寄せられて、キスをされる。
「んっ···」
「あの日、すぐにお前に会いに行こうとしたんだ。」
「うん」
「会いたくて仕方なかった。これでずっとお前のそばに居られると思ったら、嬉しくて」
志乃の背中に手を回して抱きしめる。
トクトクと聞こえてくる心臓の音が心を穏やかにさせる。
「そう思ってくれたこと、凄く嬉しい。好きだよ、志乃」
「ああ。」
志乃が俺の体を離し、じっと見てくるから顔を上げて視線を重ねる。
「梓、好きだ。離れたくないとか、今すぐに会いたいとか、そう思ったのはお前が初めてだ。」
「ふふっ、どうしよう···嬉しくて、泣きそう」
「大好きだ。愛してる」
もう一度キスをされ、俺は頬に涙を流し、志乃の愛を受け入れた。
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