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第135話

一限目の講義は無事に間に合い、同じ講義を受けていた西村さんと会った。 西村さんには大学を辞めることを伝えた。理由は聞かれたけれどそれは言えないと躱した。 「今学期で会えなくなるんだね。寂しいなぁ」 「そう言ってくれるのは嬉しいな」 「槙村も戻ってきたら梓が居ないとか寂しいね」 「んー···でもそんなに、仲良くはなかったよ」 西村さんと少し話をして、二限までの講義をしっかり受け、それが終わる頃に志乃にメッセージを入れた。 するとすぐに返信が来て、どうやらタイミングは良かったらしい。 校舎を出て正門に行くと車が近くに寄ってきた。隣に付いたそれの窓が下ろされ志乃が顔を見せる。 「乗れ」 「うん」 車に乗ると運転席には神崎さんがいた。 挨拶をすると、挨拶を返してくれる。 「飯は?」 「食べてない。帰ったら何か作──っあ!ギプス取れてる!」 「ああ」 「良かったね!」 そう言って笑うと頭を撫でられた。 家に着いて神崎さんにお礼を言い、車を降りる。部屋に上がり手を洗って、志乃の指示通りにご飯を作り、二人で食べた。 その後のゆっくりした時間。 ソファーに座る志乃の隣に腰を下ろす。 「志乃」 「ん?」 「あの···お願いがあります。えっと···無理なら大丈夫だから、聞くだけ聞いてくれる?」 「ああ」 不思議そうな顔をしている志乃をじっと見る。 「あの···もうずっと、してないでしょ?」 「してない?何を」 「えっと···その、え、エッチ···」 そう言うと志乃はコクコクと頷いた。 「改まって言うことじゃないと思うんだけど、志乃に触りたいなって、思って···」 「へぇ?つまりはセックスしたいんだ?」 「···したい」 そう言うと志乃はニヤッと笑って、俺にキスをする。 「俺もしたい。でも夜にな。少しやらないといけないことがある。」 「···夜になったら、してくれる?本当?」 「本当。だからいい子にして待ってろ」 肩を抱き寄せられ、志乃にピタッとくっついた。

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