139 / 292

第139話

*** 大学生活も残り2週間を切った。 もうそれきりで辞めるとわかっているけれど、試験ではいい点数を取りたくて勉強する。 「勉強するのはいいけどよ、触るの禁止ってのはどうなんだよ」 「昨日も散々触ったでしょ」 「昨日はお前がもっと触れって言ったんだろうが。」 1人で勉強をしたかったのに、座っているのは志乃の膝の上。どうやら俺に構ってほしいらしい。後ろからグチグチ言ってくるから、鬱陶しくてペンを持つ手を止め振り返る。 「あと30分だけ、静かにして」 「それ終わったら?」 「···触っていいよ」 明日から試験なんだ。頼むから30分だけ我慢してくれ。その気持ちを込めて志乃の目を見つめると溜息を吐いた。 「わかったよ」 「ありがとう」 早速勉強を再開する。 志乃は俺のお腹に手を回して抱きついていて、けれどそれも気にならないくらい集中した。 お陰で30分経つ頃には試験範囲の内容は全て復習できてペンを起き、一気に脱力した。 「終わった?」 「···終わった」 志乃にもたれて目を閉じる。すると後ろから顎を掬い取られキスをされた。 「眠いのか?」 「···疲れた」 「なら暫く休んでろ。」 体を志乃の方に向けて、志乃の肩に頬を付ける。背中をぽんぽんと撫でられると眠りに落ちそうになった。 「寝ちゃいそう」 「寝てもいい」 「でも···志乃に触っていいって言ったから」 「疲れてる奴にちょっかい掛けたりしねえよ。ほら、寝ろ」 そう言われて目を閉じる。 起きたらさっきまでやってた範囲を忘れてたりして。それは嫌だなぁと思いながら、夢の世界に落ちた。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!