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第140話
結局昨日は志乃は俺に触ることは無かった。
一緒にベッドに入ったけれど、俺のことを思ってか手は出さなくて、それが少し寂しかったってことは絶対に言わない。
「じゃあ、いってきます」
「頑張れよ。終わったら連絡しろ」
「うん」
大学まで送ってくれた志乃。
試験勉強はちゃんとしたし、昨日少し眠ってから起きた時もある程度覚えていたから多分、大丈夫。
送ってくれた車が行ったことを確認してから、試験を受ける教室に足を向ける。
今日は試験だから余計に学生の登校時間はズレているようで、あまり人がいない。
「梓」
「え?」
名前を呼ばれて振り返ると、何故かそこには槙村がいた。休学してるんじゃ?と思っていると「こっち来て」と手招きされて、また校門の方まで向かう。
「さっきの、眞宮志乃?」
「え···ぁ、う、うん」
「やっぱり本当だったんだね。眞宮志乃に監禁されてるって。今はもう外に出ることを許されたの?」
「そうだけど···ねえ、休学したんでしょ?どうしたの?大丈夫なの?」
槙村に問いかけると嬉しそうに口元が弧を描く。
「大丈夫。準備が整ったから」
「え?準備?何の──···」
ガンっと頭を硬い何かで殴られる。
そして意識が無くなった。
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