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第148話 梓side

これは浮気になるんだろうかとか、それくらい呑気な状況ならよかった。 今俺はイカれた槙村に部屋の隅に追い込まれている。 いつの間にか眠っていた俺は、目を覚ますと全裸で居て、一気に目の前が真っ暗になった気がした。慌てて服を探すけれど、相変わらず手足は拘束されているから、服を見つけても着ることは出来ない。 そうしていると槙村が部屋にやってきて、そんな俺を「抱く」だとか「やっと繋がれる」だとか、気色の悪い言葉を口にした。 「梓、逃げないで」 部屋の隅に逃げて体を小さく丸める。こうすることで自分が守れると思ったから。 「眞宮志乃とは、こういうことした?」 「っ、や、触るなっ」 背中に触られた途端ぞわぞわとして、顔を上げると目が合いキスをされる。 手足を拘束されていれば自分の思うように体は動いてくれなくて、両足を引っ張られ、どてっと後ろに背中をぶつけた。 痛みに唸っていると足の拘束を解かれて、そのまま両足を割られる。 羞恥に襲われた俺は何も声を発することも驚いて抵抗も出来なくて、されるがままになった。 「いい子だね。」 「──っ!や、やだっ!」 「大丈夫、気持ちよくしてあげるから」 二タニタと笑う槙村の股間は既に盛り上がっていて、頭がおかしいのではないかと槙村を睨みつける。 槙村の持ってきていたローションが後孔に塗りつけられ、驚いて体を震わせる。 「指入れるよ」 「いや、嫌だ···やめて···やめてっ」 足を使って何とか槙村を俺から離させようとしたのに、鋭い目が俺を見て「変な事したら殴るよ」と脅してくる。途端、俺の体は恐怖に支配されて動かない。 「···ちっ、誰だよ···」 そんな時、槙村の携帯が音をあげた。俺から手を離した槙村が電話に出る。 「西村?どうしたの?」 携帯から盛れる声で、俺の知っている西村さんだということが分かった。 「え?今から?···いや、疚しいことなんかないけど。···分かったよ。1時間だけね、場所は?」 どうやら今からどこかに出かけるらしい。助かった···と思ったのと同時にその間に逃げられないかと考えを巡らせる。 「ごめんね、ちょっと出かけてくるよ。1時間で帰ってくるから」 「··········」 無視していると顔を掴まれて、無理矢理目を合わせられる。 「言うこと、あるよね」 「············」 言うこととか、そういうのはどうでもいい。後孔のローションは拭ってほしいけど。 そう思っていると頬を思い切り殴られた。1度志乃に殴られた事がある。それに比べると痛くない。けれど殴られた事実は変わらなくて、殴られることの恐怖に体を震わせる。 「ほら、行ってくるよ。言うことは?」 「···い、いって、らっしゃい」 そう言うと頭を撫でられ、キスをされる。 槙村が部屋から出ていきドアが閉まる。 痛む頬に涙が零れた。

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