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第149話 志乃side
今すぐにでも行動して欲しかったが、親父の許可をもらい、計画通りに動けたのは翌日のことだった。
「どうなってんの?」
「西村が槙村と会ったら連絡をくれる。別れる時にも」
「西村さんは協力的でありがたいね。ちゃんと働き分のお給料はあげてよ」
「わかってる」
「で、結局お前も行くんだね」
「···当たり前だろ」
そうして少し待っていると西村からメッセージが届き、立岡と神崎に速水、それから二人についている部下を連れて槙村の家に向かう。
「梓を保護することが一番だ。何よりも梓を守れ」
「はい」
立岡に案内されついた家。
周りを警戒して歩けば早速明らかに堅気ではない奴らが現れる。
「神崎と部下達は残れ。立岡に速水は梓の所に行け」
命令するとそれぞれがすぐに動く。
立岡は速水に守られながらピッキングをして、家の中に入っていく。
俺はその場に立って神崎やその部下達が敵を倒して行く様子を傍観し、しばらくしてそれが終わると梓の待つ部屋に行く。
「あ!ダメ!志乃はまだ来るな!」
「はあ?何でだよ」
「見ちゃダメ!お前絶対暴れるから!」
梓と立岡と速水がいるであろう部屋に行こうとすると、ドアの前で立岡がダメダメと俺を止める。そんな立岡を無理矢理退かせて中に入れば、速水が梓をシーツで包み抱き抱えている。
「えっと···」
「···志乃、志乃だ···」
俺に手を伸ばしてきた梓。服を着ていないようで、シーツが少し開けると綺麗な肌が見えてしまう。その時に少し青くなった梓の頬を見て殴られたのだろうかと不安に思った。
「こっちにおいで」
優しくそう言い、速水から梓を受け取ると、俺の肩に顔をぐりぐりと押し付けて、それから泣き出す。
「帰りたい。···早く、帰りたいっ」
「ああ、すぐ帰ろう」
梓の頭を顔を寄せて、強く抱きしめる。
梓が震えているのは寒さのせいではないのかもしれないと思うと、絶対にタダじゃおかないと、槙村に対して殺意が湧いた。
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