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第165話
「信じられない!!」
「怒るなよ」
志乃に風呂に入れられる。俺は動くことが不自由で志乃にもたれたまま。
「あんなにするなんて!」
「でもあんなに良さそうだったじゃねえか」
「うるさい!」
志乃の胸をドンと叩く。
そしたら顎を掴まれそのままキスをされて、舌を噛んでやろうかと思った。
「お腹に違和感がすごい」
「結腸ってわかるか?そこまだ入れたからそりゃあ違和感あると思う」
「···一回入れられてみたら?」
「誰が」
鼻で笑った志乃。ちっと舌打ちをしてやると笑って俺の髪を撫でる。
「痛くはなかったか?」
「···痛くはない」
「そうか」
「···志乃は良かったの」
「ああ」
こめかみに落とされる唇。
「でも、その···結腸ってやつは、好きじゃない」
「わかった」
珍しく物わかりのいい志乃。驚いて振り返れば「何だ」と艶やかな雰囲気を纏って聞いてくる。無駄に綺麗なその顔を見ていると、胸が締め付けられるような感覚になった。
「好き」
「知ってる」
「志乃の顔みたら、胸が苦しくなる。好きだからかな」
「それなら嬉しいな」
柔らかく笑う志乃が愛しくて、自分から志乃にキスをした。
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