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第169話

暫くして神崎は帰って行き、梓は俺に膝の上に座る。仕事の続きがしたかったけれど仕方が無い。 「神崎さんの目、初めてちゃんと見た」 「そうか」 「水色と灰色。すごく綺麗」 「あまり見てやるな。目伏せてただろ」 「あ、そうなの···気付かなかった、悪いことしちゃったかな」 不安そうにす梓の髪を撫でながら「大丈夫だとは思うけどな」と伝えると、自信なさげに1度頷いた。 「神崎さんは何で眞宮組にいるの?」 「···さあな」 神崎がうちにいる経緯はよく知らない。ある日突然やってきて、幹部にまで上り詰めた。初めて会ったのは神崎が15の時だったと思う。 「あんまり聞かないの?幹部の人達にそういうこと」 「聞かねえな。それほど興味はない」 「···それっていい事?」 「知らん」 梓を膝から下ろし、持ってきてもらったUSBを起動させたままのパソコンに挿す。 「仕事するの」 「ああ。DVD途中から見れば。すぐ寝てただろ」 「んー···うん。そうする」 梓が俺から離れていき、それを感じてからデータを確認した。

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