181 / 292

第181話

「え、会合?」 「そうだ」 部屋に戻り早速梓に話をする。 「だからその日はお前と一緒にいられない。今から冴島に連絡してお前を見ておくように頼むつもりだ。いいか?」 「いいけど···会合って危なくないよね?」 「ああ。ただ話し合いをするだけだ。相手の立場は俺達より上だから、下手なことはできないがな。」 「···大変だね、気張らなきゃいけないんだね」 梓の手が俺の頬を撫でる。 別にそんなに大変ってわけじゃねえけど、こうして触れられるのは嫌いじゃないから、そういうことにしておこう。 「あ、じゃあその日は帰ってこないかもしれないの?」 「そうだな。」 「えー、やだなぁ。どこか遊びに行こうかな」 「だめだ」 「即答じゃん。でもだってさ、冴島さんにも迷惑だし」 馬鹿なことを言う梓をどうしてやろうか。 俺が仕事に外に出て、梓が一人で家にいて、それでさえ不安なのに、外に遊びに行かせるなんて言語道断だ。 「それなら親父に頼んでこの部屋にいてもいいようにする。ここなら俺もいるし、それならいいだろ」 「できるの?そんなこと」 「する。待ってろ、話してくる」 「はーい」 最近梓に振り回されている気がする。 けれどそれを嫌とは思わないから、俺は相当梓に惚れ込んでいるんだと思う。 結局親父に許可をもらい、会合の日は梓を本家に連れてくることになった。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!