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第195話 志乃side
慌ただしい。
バタバタとした足音に、だんだんと腹が立ってきて、煙草を吸う量が増える。
「志乃さん、落ち着いてください」
「···わかってる」
幹部補佐の矢倉 がいっぱいいっぱいになった灰皿を取り替える。
「神崎さんと相馬さんから連絡がそろそろ来るはずです。」
「···お前もそろそろ準備しろ。連絡が来たらすぐ動く。」
「はい」
ふぅ、と息を吐く。
梓は今頃浅羽組にいるはずだから、問題は無いだろう。俺が帰るまで楽しんでいてくれたらいい。
「───志乃さん、連絡が来ました。」
部屋の前から夏目がそう言う。立ち上がり、部屋から出て親父の部屋に向かうと後から夏目も追ってくる。
「すぐ向かいますか?」
「ああ」
夏目がそう言うということは、相手側の準備も整っているらしい。
「車回しておきます」
「頼む」
親父の部屋の前で声をかけ中に入る。親父はお袋と話をしていたらしく、ソファーにお袋と寛いだ様子で座っていた。
「行ってくる」
「ああ。こっちはこっちで固めておく。遠慮せず暴れて来い」
「暴れるって···餓鬼じゃねえんだからよ」
つい笑ってそう言うと親父とお袋もつられたように笑った。
なんだか、全部、うまくいくような気がする。
親父たちと別れ、門の前まで出ると夏目と一緒に行く速水が車の側に立ち、頭を下げる。
「行くぞ」
「はい」
車に乗りこんで、深呼吸をした。
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