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第199話 志乃side

敵である(たちばな)組の所に着き、親元に辿り着くために、敵を倒しては前に進んでいた。 あともう少しで···という所で、目の前に転がったのは血だらけの立岡だ。 拘束され、項垂れている。その為に表情は見えない。 生きているのかですら疑問に思う程、その姿からは生気が伺えない。 「若、どうしますか」 神崎が静かにそばに寄ってきて、小声で聞いてくるけれど、指示が出せない。 いつから、立岡はここに攫われていたのか。そう言えばこの間梓のことを見ておいてくれと言ったきり、姿は見ていなかった。 「若」 「···立岡を回収することが最優先だ」 「わかりました」 浅羽の幹部の早河にそれを伝えた神崎。 速水はそこら中にいる敵に拳と拳銃で応戦している。 立岡のすぐ隣で、俺たちの様子を二タニタと悪いながら見ている親元は、ゆっくりと口を開く。 「こいつぁ、ずっと俺たちを探っててなぁ。目障りだったから拘束させてもらった。調べてた内容を吐けって言っても、殴っても、ゲロんねえんだよ。殺すつもりはなかったけど、ここで殺っちまうのもありだよなぁ?」 「その前に俺がお前を殺すぞ」 「あ?できるのならやってみろ」 立岡のがくんと下げられてる頭に、銃口があてがわれる。 「···こいつがいなくなれば、眞宮は少しでも崩れるのか?」 「···崩れたりしねえ。」 そう言って、笑う。 「お前らが、一気に堕ちるだけだ。」 そう発したと同時、立岡が顔を上げ、頭に突き付けられた銃口を上に向けた。そして銃を持っていた男の手をぐっと握ったかと思うと、銃声が鳴る。 「あ、立岡さん生きてたん」 「みたいだな」 立岡のせいで放たれた玉は、見事に男に当たり、喚き崩れている。 隣に来た速水はいくつもの返り血を浴びている。 「志乃悪い、しくった」 「お前のそれは今まで何度も聞いてきた」 立岡はへらっと笑って、地面に崩れる。 神崎が立岡を支えにそこに向かう。その間に敵が立岡に集まってきて、それを速水が倒していった。

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