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第210話
「立岡さん、お薬持ってきました」
「···ん、ありがと、置いといて···」
体調はあまり宜しくないようで、ベッドに寝転んで目を閉じたまま返事をする立岡さん。このままじゃ、飲まない気がして仕方がない。
「今飲んで」
「···面倒だなぁ」
「早く」
ベッドに隣にある机に置いてあったペットボトル。中には水が入っていて、立岡さんが体を起こし、背中を支えながらそれを口元に持っていく。薬を飲んだ立岡さんに満足して、小さく息を吐いた。
「···はぁ、ありがとう」
「いえ、じゃあ寝てください」
「はーい。おやすみ」
布団をかけ直して、部屋を出る。そのまま外に行けば、今日の空がこんなに曇っていたということを初めて知った。
「···雨降るかな」
深呼吸を繰り返し、トラさんのところに戻らなきゃなぁって時に車がやって来て、駐車場で止まる。中からはハル君と命さんが降りてきて、ハル君が俺にヒラヒラと手を振った。
「何してんだ?」
「あー···散歩?」
「え、何で質問されてんの俺。」
「命さん、こんにちは」
「こんにちは」
律儀に頭まで下げた命さんにオロオロしながら、3人でトラさんのいる部屋に行く。
「だからそういう所がダメだって言ってんでしょ!何でわかんないかなぁ!」
「知らねえよ!なら俺がわかるまでお前が教えろよ!」
部屋に入ると赤石さんと燈人さんが言い合っていて、その中にハル君と命さんは余裕で入っていく。
「おう、お前ら居たのか」
「あー!若にみっちゃん!ごめんね、今絶賛喧嘩中だから!」
「喧嘩はしていいが外でしろよ。うるせえ」
「若ぁ!そんな事言わないでよ、俺今日は結構役に立ったと思うんだけど!?ね!みっちゃん!」
「知らねえよ、抱き着くな」
一気に賑やかになった部屋。
トラさんが溜息を吐いているのが見えた。
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