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第222話

皿洗いを終えると、言っていた通り部屋にこもった健人。寂しいなと思いながら、テレビをつけた。 健人の家は2LDKで、一人暮らしにしては広い。 暫くソファーに座ってテレビを観ていたけれど、飽きてしまってすぐに消した。 「ふぅ···」 どうしよう、すごく暇だ。 部屋に置いてある本棚を見て、本を物色する。 さっき健人に取られた本を一冊手に取って、著者名を見る。『須賀賢人』って名前はやっぱりすごく有名で、これがあの健人だなんて信じられないや。 「···読も」 それを持ってソファーに移動し、寝転んで本を開いた。 *** 「梓ぁ」 「んー」 本を読んであともう少しで終わりに差し掛かるって時に健人に名前を呼ばれて、本から顔を上げた。 「あ、本読んでたん」 「うん」 「俺な、仕事終わったからどっか行く?」 「行く」 本を閉じて、机の上に置く。 伸びをして健人の方を振り返ると、キスをされて驚く。 「なあ、梓」 「な、なに」 「···俺は梓のこと好きやで」 「どうしたの突然」 健人の手を取って健人を見上げる。 「梓にもっと触りたい」 「···それは、キス以上ってことだよね」 「うん」 優しい目で俺を見る健人。これを許したら俺は志乃の所には帰れないのかもしれない。けれど、志乃の代わりになる愛情が欲しい。 「うん、いいよ」 「···ほんま?ほんまにええの?」 「健人が触りたいなら、触って。それから···俺にも触らせて」 そう言って健人にキスをする。そのまま抱きしめると背中に手が回って、強く抱き締めてくれる。 「好きやで、梓」 「うん、俺も」 この愛情に裏切られたら、俺は今度こそ立ち直れない。離さないでという思いを込めて、抱きしめる力を強くした。

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