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第238話

志乃が眠って、ハル君はトラさんとお仕事の話をした後に帰って行った。 夜になって、トラさんとご飯を食べる。 ベッドではだんだんと熱の上がってきた志乃が辛そうに眉間に皺を寄せている。 「水分取れてないから点滴するわ。」 「うん」 「汗かいてるだろうし、服も着替えさせてあげたいわね···」 「ちょっと声掛けてみる」 眠ってる志乃の肩をトントンと叩く。ゆっくりと薄く目を開けた志乃は、ぼーっと天井を見て、それから俺を見た。 「汗かいたでしょう?服着替えよう?」 「···ああ」 掠れた声は、不謹慎だけど凄く色っぽくてドキッとした。 「志乃君、ご飯は食べれる?」 トラさんがそう聞くと首を振って否定した。志乃が起き上がろうとするのを手伝う。 「ちょっと待ってね、体拭くから」 トラさんからお湯とタオルを預かる。意識ははっきりしているようで、服を脱いだ志乃が自分で体を拭こうとするから、俺がそれを拒否して、志乃の体を拭いてあげる。 「たまには甘えてよ」 「···そうだな」 「志乃君、終わったらこれに着替えてね」 「ありがとうございます」 体を拭き終え、着替えた志乃は、ベッドに倒れ込むように寝転んで、ふぅ、と深く息を吐いた。 「ごめんね、点滴するわね」 「···はい」 目を閉じた志乃。それからはしんどいからか目を開けることなく、そのまま眠ってしまった。辛そうだけれど、眠る顔が綺麗で、ついキスしたくなる。 「···今梓君が考えてたこと当ててもいい?」 「えっ!」 俺を見ていたらしいトラさんがニヤニヤしながら聞いてくる。 「キスしたいって思ったんでしょ!わかるわ、こんなにいい男なんだもの。寝てる時に襲ってやりたいわよね!特に弱って抵抗出来ない時なんて最高よ!」 この人は医者なのに何を言ってるんだろう。弱ってる時は休ませてあげてほしいよ、と思いながらトラさんの言葉に苦笑を零した。

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