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第245話

ハル君がなんとか二人を仲直りさせ、俺達は帰ることになった。 志乃はこれで良かったのか?と悩んでいたけれど、多分良かったんだと思う。 家に帰ってくると、志乃は気を張って疲れたのかソファに倒れ込む。そんな志乃に珈琲をいれてあげて、テレビをつけた。 「疲れた」 「そのまま寝ちゃダメだよ。」 「珈琲ありがとう」 「いいえ」 起き上がった志乃が、珈琲に口をつけて、ホッと息を吐く。 「梓、昨日話したこと覚えてるか」 「昨日?···あ、」 お風呂場でも、この部屋でも話したこと。 思い出して、口を開けたまま志乃を見る。 「···やること全部やってからね」 「こんなに我慢したのに?」 「うん。だって何も出来なくなっちゃう」 「···否定出来ないな。なら俺も手伝うから、早く終わらせるぞ」 志乃が立ち上がって、ふっと笑う。 動きやすい服に着替えて、お風呂掃除に洗濯物に、ご飯を作った。 「できたぁ」 晩御飯まで休憩。ソファに座る志乃の上に倒れ込んで、無理矢理膝枕をさせる。 「飯食ったら一緒に風呂入るぞ」 「うん。ちょっと寝る」 「おやすみ」 頭を撫でられて、気持ちいい。 目を閉じると疲れていたようで、一気に眠気がやってくる。 意識が途切れる寸前に、志乃にキスされた気がした。 *** 「──あずさ、梓」 肩をトントンと叩かれる。目を開けると志乃がすぐそこにいて、腕を伸ばし志乃の顔を引き寄せる。何がしたい訳でもなくて、じーっと見ていると触れるだけのキスをされた。 「もう7時だ。飯食おう」 「ご飯ね···うん、わかった」 起き上がってご飯の準備をする。途中何度もふわふわと欠伸をして、志乃が「そんなに眠いのか?」と心配してくれる。 「ううん、寝てた余韻じゃない?」 「何だそれ。そんな言葉初めて聞いた」 「俺も、初めて言った」 ふふっと笑って、ご飯をテーブルに並べ、手を合わせる。 食事中は特に話したりしないけれど、気まずくなったりはしない。志乃と一緒に作った料理は美味しいなぁと思いながら、料理を口に運んだ。

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