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番外編 勘違いしないで

目の前に足を組んでソファに座る志乃。そんな志乃の前で床に正座する俺。 「なあ、分かってたんなら何でこんなことした?」 「え、っと···」 「ちゃんと答えて反省するまでそのままだぞ。」 明らかに怒っている志乃。 どうしてこんな状況になったのか、それは今朝のことである。 *** 「仕事行ってくる。早く帰ってくるから、ちゃんと家にいろよ」 「はーい」 志乃が家を出て、俺は暫くテレビを見てのんびりと過ごしていた。そんな時、携帯に届いた一通のメッセージ。それは立岡さんからだった。 立岡さんに連絡先を教えた覚えはない。けれど彼は情報屋だし、例えば志乃が俺の連絡先を教えるのを拒否したとしても、すぐに突き止めるんだろう。 メッセージの内容を嫌々ながらに見て、目を見開いた。 こんなダラダラと過ごしてられない!!そう思って家を出る支度をする。 多分志乃にバレたら怒られることは間違いないけれど、今家を出ないなんてことは出来ない。 急いで準備を終わらせ、志乃が帰ってくる前には帰ってくるんだと言い聞かせて、家を飛び出した。 立岡さんから届いたメッセージには、巫山戯た様子で重大なことが書かれてあった。 ”今日は志乃の誕生日だよ”と。 タクシーを拾ってショッピングモールに行き、そこにあるATMでお金を下ろす。誕生日プレゼントは自分のお金であげないと。渡されてるカードは家に置いてきた。 シックな感じのお店に入って、商品を見る。 あれは志乃に向いてないとか、志乃はこれが似合うなぁとか、そんなことを考えていると1時間はとっくに過ぎていた。 待って、志乃っていつ帰ってくるって言ってたっけ!?早く帰ってくるって言っただけで、時間は言ってなかった! 見ていた商品の中で1つ、志乃に合ってるなぁと思ったものを手に取る。けど、志乃はこれで喜んでくれるだろうか。きっともっと良い物を持ってるんだろうな。 どうしようと悩んでいる時間が惜しい。 これは志乃に似合う。使ってもらえなかったら、それはその時に考えよう。 「すみません、プレゼント用で」 店員さんにお願いしてラッピング包装をしてもらう。 すぐに綺麗にラッピングしてくれた店員さんにお礼を言って店を出る。 「あ、ケーキ···」 志乃が好きかはわからないけれど、誕生日にはケーキがあってほしい。俺は小さい頃の記憶はあまり覚えてないけれど、誕生日って言われるとプレゼントにケーキがある温かい家族を想像する。そして俺も誕生日にはそうであって欲しい。 「ケーキ、ケーキ···甘すぎないやつ···」 ショッピングモールにあったケーキ屋さんに寄って、あまり甘すぎないやつを店員さんと相談して買った。

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