255 / 292

番外編 怖い人の恋人達

一度仕事に行って、昼に俺を迎えに来た志乃。そのまま浅羽組に連れてきてもらった。 「志乃もいようよ」 「だから俺は仕事があるんだって。今日やらねえと明日帰ってこれない」 「···それは嫌だ」 「な?だから挨拶したら帰る」 車から降りて、二人でそんな会話をしていると、ハル君がやって来た。志乃はハル君に頭を下げている。 「志乃、頭下げなくていい。お前はまた今から仕事か?」 「はい。なので梓だけ···御迷惑をおかけしたらすみません。」 「それも大丈夫だ。梓は友達だし?な?」 「友達だって!」 そう言って志乃の肩を叩けば、少し睨まれた。視線を外してハル君に近づく。 「何で呼んだの?」 「会わせたい奴らがいてな。帰りは俺が梓を送ってくよ。」 「いや、迎えに来ます。」 「そうか?ならまた連絡する」 志乃はハル君に挨拶して、すぐに車に乗って、行ってしまった。 俺はハル君に連れられて廊下を歩く。 「会わせたい人って?」 「んー···陽和と赤石と、早河の恋人と、命の恋人」 「えっ、そ、そんなメンバーの中に俺が入るの!?」 「お前も志乃の恋人だろ?」 ケラケラ笑うハル君。とある部屋についてハル君が中に入ると、聞こえてきたたくさんの声。少しビクビクしながら俺も中に入った。 「あ!梓君!」 「赤石さんに陽和君、久しぶり」 「久しぶり!わぁ、なんか···幸せオーラでてる」 赤石さんがふざけてそう言う。俺は本当にそんなオーラが出ていたなら恥ずかしくて、ついついハル君の後ろに隠れた。 ハル君の肩口から、部屋の中を覗くと、赤石さんと陽和君の奥に、もう二人、人がいた。 「梓、こっちが命の恋人のユキ。ユキ、眞宮組の若頭の恋人の梓だ」 「初めまして···」 「初めまして!俺、ユキです!」 「梓です。」 紹介されたユキ君は凄く美形で吃驚した。本当に同じ人間なのか疑いたくなる程。 「同じ、人間だよね···」 「何言ってんだ梓。ユキは同じ人間だぞ。な?ユキ」 「えっ、ぁ···うん。俺人間だよ?」 「······ごめんなさい。あまりに格好いいから···」 ユキ君が戸惑って、苦笑いを零す。俺も同じような顔をしていると、「ハル、俺はー?」ともう一人の人がハル君の前に立った。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!