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番外編 怖い人の恋人達

「梓、こっちは早河の恋人の琴音。」 「ユキ君の後に紹介するとか酷ない?何でこんな美形の後に···存在感薄なるやん!」 「その話し方で存在感はピカイチだろ。」 独特な話し方。速水さんに少し似てる。 「初めましてぇ。」 「初めまして···早河さんの恋人さん、なんだ···」 「ん?何か不思議?」 「いや···早河さん、見た目がちょっと怖いから、すごいなって···思って···」 待って、もしかして俺、今すごく失礼なこと言った?慌てて口を抑え「違う!そうじゃなくて!」と叫び訂正しようとしたら、それより先にケラケラと赤石さんが笑い出した。 「確かにっ!!俺もさっき早河の恋人って聞いたけど、よくあんな強面無表情野郎と付き合おうと思ったね!」 「はぁ!?赤石さん何言うてくれてるん。うちの大和は可愛いんですぅ!」 「そうだぞ赤石。燈人は早河に何処と無く似てるし、お前もそうだろうが」 「ちょっと!早河と燈人を一緒にしないで!」 言い合いが始まって、陽和君が止めているのを、俺は部屋の隅っこでユキ君と座り、三人の様子を眺める。 「ユキ君は命さんの恋人なんだよね···。一度命さんにお世話になったことがあって、すごく救われたんだ」 「そう、なの···?俺も命に助けてもらったんだぁ。命が居なかったら、多分とっくの前から生きてないかも」 「えっ」 「ふふっ、それくらい、命に感謝してる。それに大好きだし。格好いいから皆が好きになるのはわかるけど、誰にもあげないよ。」 そう言って優しく笑うユキ君は見ていて溜息が零れるほど綺麗だ。 「まだ言い合ってるね」 「琴くんと赤石さんは今日初めて会ったんだよ。なのにあんなに仲良しなの、すごいなぁ」 「え···あ、そっか!さっき早河さんの恋人って聞いたって言ってたもんね」 騒がしい様子を暫く眺めていると、煩いのに我慢出来なくなったのか、陽和君が大声を上げた。 「うるさい!うるさいうるさい!!」 「っ!吃驚した···陽和、うるせえぞ」 「うるさいのは三人だよ!」 陽和君は物怖じすることなく、ハル君の頭をパシッと叩いた。 「もうハルは出てってよ。仕事してきて、暫く来るな!」 「え······俺が呼んだんだけど······」 「俺達が話す為にでしょ!?」 「······わかった」 完全に拗ねた様子のハル君。部屋を出て行こうとするハル君にユキ君が近づきて、「ねえねえ」と肩を叩く。 「ん?どうした」 「この場所、作ってくれてありがとう。ハル君がいなかったら、多分みんな、集まれなかったから······」 「···ユキ、お前本当···いつまで経っても可愛いな」 ユキ君とハル君はどういう関係なんだろう。確かにユキ君は命さんの恋人で、命さんは浅羽組にいる訳だから、親しいのはわかるけれど···なんというか、もっと強い関係なんじゃないかなって思った。 「お仕事するの?疲れたらここに来て一緒に話しよう?···あっ、命も、早河さんも呼んで···ね?」 「そうだな。命達にも伝えておく。」 さっきの拗ねた様子は無くなって、柔らかい顔で部屋を出て行ったハル君。 ユキ君はまた俺の隣に戻ってきて、俺達をぼーっと見た。 「あの···俺、何で呼ばれたのかわからないんですけど···何か、話すことがあるんですか?」 つい、突き放すような言い方になってしまった。以前より、初めて会う人なんかには警戒してしまう。

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