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番外編 怖い人の恋人達
暫くして、ハル君が「疲れたぁ」と言ってやって来て、陽和君に凭れるように抱きついた。陽和君はハル君の髪をさらさらと撫でている。
「あ、そういえばユキ。命が終わったらすぐ来るって。あいつ本当お前のこと大好きだよな。ていうか溺れてるって感じする」
「それはハルもやろ。溺れすぎやわ。」
「何だ、嫉妬か?」
「そうや!俺と赤石さんと梓君は今甘えたくてもそんなんできやんねんぞ!」
「呼べばいいじゃん。」
「仕事の邪魔はできやんもん!な!赤石さん!」
赤石さんは勢いよく頷いて、琴音君と二人、ひしっと抱き合った。
「ていうか···もう3時だよ。ユキ君と琴音君はまだしも、赤石さんと梓君は時間大丈夫なの?」
「俺は大丈夫だよ。燈人にはちゃんと伝えてるしね。」
「俺も大丈夫···だけど···」
ハル君と陽和君を見てたら、俺だってああやって志乃に甘えたいって思う。
「だけど、何?」
「···だけど」
「わかった。志乃さんに会いたいんでしょ。」
赤石さんがニヤッと笑ってそう言った。それに隠すことなく頷く。
「まあ、目的は果たせたみたいだし。そろそろ解散するか」
ハル君が気を使ってそう言ってくれる。気を使わせたことには申し訳ないけれど、でも志乃に会いたいから仕方ない。
「電話、してもいい?」
「ああ。迎えに来てもらえ」
頷いて、携帯を出して志乃に電話をかける。
大好きな声が聞こえてきて、すごく嬉しく感じた。
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