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俺とアキ 9

宣言が終わり切るその前、ドアの前で腕を組みまるで門番の如く待機していたアキの目の前までスライディング如く勢い任せに駆け寄るが⋯ これまでの全力疾走で使い果たした体力が己の体を支え切れる程残ってる訳もなく、そのまま派手な音を立てて顔面から廊下に倒れ込む形で無事完走を果たす事に成功。 したのだが、くっっそいてえ 「う、っわ。お前、なぁ…?!…あ〜あ、どうするよ、コレ」 「いっっっ、だぁああ!!…ま、ってマジで痛いかも。あ、無理…。っ、俺の、俺の顔のパーツ何処かに落ちてない?ねえアキやばすぎるって」 「ったく…マヌケすぎんだ、ろ、…っ?!?あー!!もう良いから早く行け!!後は俺が全部やっとくから」 「…、…うぅ、ご、めん…」 あまりにも激しい衝撃や顔面に広がる激痛に暫く蹲り、痛みに耐えていたが同時に気になるのは顔面の状況で。本気で何処か一箇所位無くなっちゃったんじゃないか、と触ってみるがズキッとした痛みが走るだけでちゃんと鼻は付いてました。 スリスリ、と鼻を擦りながら顔を上げると周りには俺の吹き飛ばした袋から、乱雑に転がり落ちる無数の食べ物や飲み物に深いため息が一つ。 やってしまったなぁ、と。 拾い集めようと腕を伸ばせば唇の端からポタリと滴り落ちた赤い雫が廊下にも垂れてしまい、 あ、口の中も痛えかも。 気付いた痛覚に意識が逸れてる間、ダラダラと無心で血を垂らす俺の姿にうわ、と一言悲鳴を上げたアキに無理やり部屋に押し込まれ、まるで汚いものを払うかのようにシッシッ、と手で追いやられた。 せっせと落ちた物を拾い集め、俺の血までゴシゴシと険しい顔で拭いてくれてる後ろ姿を見ていると何だか急に情けなくて、罪悪感でぐしゃりと胸が苦しくなった。 「今更だけど、俺ってほんと...」 アキに甘えすぎだよなぁ さすがに今回ばかりはワガママしすぎちゃったや。素直に謝らなきゃなぁ… 何だかんだ言いながらも結局は俺に物凄く甘くて、そして優しい事を知ってる。だからその優しさに漬け込んでいつもアキに甘えちゃうんだよなぁ… 不甲斐ない。情けなさすぎる。俺、男失格かも。

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