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俺とアキ 13
「あ〜あ、一気に気が抜けたわ。今回だけは見逃してやろっかな。なんか、...よく分かんねえけど元気無いみたいだし。けど、濃厚ショコラプリンは俺と半分こな」
「え、っほんと…?…ごめんねアキ、ありがとう」
気が抜けた、それは本当なのだろう。どれにしようかななんて立ち上がり、楽しそうに袋の中を覗き込んで選び始めたアキの姿に、今まで張り詰めていた緊張感から強ばっていた身体の力がフッ、と抜けていくのを感じた。
いつだってそう、どんなに俺がドン臭くて自分勝手でも、いつでもアキはそうやって最後に笑って許してくれる。そんなアキに甘えてずぶずぶ浸ってるのは狡い、とは思ってる。分かってるけど、だけど、それでもきっと、そんな俺でもアキはきっと笑って許してくれるんだろうけど。
「あ、それ俺のなんだけど」
「...、...前に俺が同じもん買ってきた時、何故か冷蔵庫から無くなってたんだよな。お前だろ?アレ。絶対に今日は譲れ」
「いーや、譲れないね。それに俺じゃないかもしれないじゃん。小さな妖精が居たりしてね。...あのさ、今日やっっと見つけたの。やっと!!だから、ムリ」
「そりゃまあ大変ご苦労でした。んじゃ、早いもんがちって事で。残念でした〜っと」
「はぁああ?!ちょ、っと待ってじゃあこれと半分こしようよ!!」
遅れてアキの元まで向かえばいくつか先に選んでた様でちらり、と手元を見てみればその中に俺のお気に入りのシュークリームを1つ見つけてしまった。
待って!そう声をかけても以前の俺がまたやらかしてたようで、こればかりは譲らんと意地固く守るアキの後ろ姿を追い掛けて交渉を持ち掛けてみるが反応は鈍く、ケチんぼ、と膨れた頬のままソファーに座るアキの隣にどすんと深々腰を降ろした。
「そう言えばお前さ、本当に熱は下がってたのか?」
「ん?あぁ、それは本当だよ。36.7度。アキのてあつ〜い看病のお陰で無事ここまで下がりましたぁ」
「ふ〜ん。…、…なあ、それ食ったらさ、お前がやってたゲーム教えてくんねえ?難しくてさ。一緒にやろうって誘いに来たつもりなんだけど、急にお前ぶっ倒れるし」
「あ…そういう事、でしたか。いーよ。俺もうあのステージ全部終わって暇だし、手伝ってあげる」
そう言えば一緒にやって欲しい、そんなやり取りしてたっけなと過去の記憶を思い返し、当初の目的を思い出す。
この数日間、まともに身動きも取れず食欲の無い俺に少しでも栄養を、と色々工夫してご飯を作ってくれてたり、洗濯に掃除まで。夜も体が怠く、中々寝付けない俺の傍で眠れるまで寄り添ってくれてたっけか。
この数日の出来事を思い返せば思い返す程に、至れり尽くせりその言葉がしっくりくる。
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