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もう一つの… 2
「なぁ。もう少し周りを見て行動しろっていつも言ってるだろ?その内骨の1本、いや、数本共一気にポキって折れたらどうすんだ。言っとくけどな、その時は今日と比べ物にならないくらいめちゃくちゃ痛えぞ、物凄くな」
「…、…でも、そうなったらまたアキが俺の事、看病してくれるでしょ?」
「いや、流石にそれは俺の範囲外でしょ。触るのも怖いし、ムリ。病院のお世話になって下さい。何でも手当て出来る程器用じゃないよ、俺は」
釘を刺す様に、念入りに身を案じる言葉を伝えてみると急に言葉に詰まり、口を完全に閉じて俯いてしまった夕の姿に首を傾げる。
そんなに不安を与えるつもりでも無かったのにな、と名を呼び俯いたままの顔を覗き込んでみればハッとした表情で「何でもない」と先に歩き出してしまう姿に、釈然としないまま、それでも特に気に止める様な事でも無いだろうと後を追いかけながらぼーっと夕の後ろ姿を見つめる。
窓から溢れる陽の光に照らされ、脱色された髪の毛がサラサラと歩く度に揺れている。長いから動く時は邪魔だし、と高めの位置で1つに括られた髪の毛も先程の衝撃で少し解け、乱れている事に本人は気付いてないのであろう。
多分気付いてたとしても直しはしないと思うけど、まぁ後で教えてやるか。
「良かったな、すぐ終わったじゃん。…、ま、後は見学してなきゃいけないみたいだけど」
「クソつまんね〜…全然大丈夫だって言ってるのに」
普段から生徒のサボり場として教師不在のまま空室の事が多い保健室なのだが、今日はどうやら居たのらしい先生の姿を見つけるなり「ちぇっ、居るのかよ」と小言を漏らす夕の頭を小突きながら失礼します、と一言声を掛け手当てを代わりに担当して貰った。
何がそんなに不満なのか、始終むすりと膨れた顔で処置をして貰う夕にお口チャック、のジェスチャーで大人しくしてるように、そう伝えると不満げな顔は更に不機嫌に、ぷい、と他所を向かれてしまった。
終わった後も機嫌は治らず、授業にも参加出来ないとの助言にはぁああと盛大に溜息を漏らしながら止まらない不満を適当に聞き流し廊下を進んでいたのだが、急にくるり、と方向転換をした夕とパッチリお互いに視線が合わさった。
「...っ何急に。ビックリしたんだけど...」
「ねえ、ちょっと俺とイケない事、してみない?」
「…は?」
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